Theme個別研究課題

フレキシブル抵抗体の開発

研究のキーワード

抵抗体、高耐熱、フレキシブル、リマン、資源循環

研究の目的

SiCはパワーデバイスに応用することで、従来のSiパワーデバイスでは実現できなかった低損失な電力変換が可能になるため、エネルギー問題に対する一つのソリューションとして期待されている。特に、次世代SiCパワーモジュールは、200~250℃程度の高温作動が可能である特徴を有する。しかしながら、従来の厚膜抵抗器は125℃もしくは155℃以下に対して設計されており、SiCパワーモジュールで想定される250℃における耐熱性は考慮されていない。このため、SiCパワーモジュール用の高耐熱抵抗器の開発を行った。

研究の成果

抵抗温度係数や抵抗値を調整するため、抵抗体粒子と金属有機化合物からなるインク溶液に光照射するハイブリッド溶液光反応法を開発しました。本法を用いて膜厚や光照射条件を最適化することで、高温の加熱工程なしに室温で0.5~10Ω/□のシート抵抗を持つ抵抗体膜の作製に成功しました。特に加熱工程がないため、アルミナ基板のみならずポリイミド基板上への作製が可能である特徴が有ります。また、従来のチップ抵抗器では、主にルテニウム酸化物と鉛含有ガラスや抵抗温度係数を制御するための材料との混合物が用いられていることから金属ルテニウムのリサイクルが困難でした。本開発のフレキシブル抵抗体膜は、ガラスや他物質を含まないため、RuO2の材料リマンが可能となるなど、循環型の電子部品として資源、環境負荷の大幅な低減が可能です。