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東北センターに期待する


OB会会長 木村 哲雄
(元東北工業技術試験所所長)

OB会会長 木村哲雄

 産総研東北センターに完成した東北産学官連携研究棟(とうほくOSL)の開所式に併せ、OB会が開催された。新研究棟は、産業界や学界との共同研究等により、東北地域の技術開発や産業振興にとって非常に有用な施設になることが期待されている。

  2001年 4月に独立行政法人産業技術総合研究所として発足してから丸3年が経過し、旧東北工研においても「超臨界流体研究」及び「メンブレン化学研究」の分野で、多くの研究者が結集し実用化を目指した研究が集中的に実施され、その研究成果が一日も早く社会に貢献することを、我々OBとしても大いに期待するものである。

  このように産総研は、技術立国を標榜するわが国において、研究の効率化及び頭脳集団の集中的活用によるCOEに向けての組織強化が図られ、研究者にとっても理想的な研究環境になると思われる。

  反面、地方においては昔日の面影が消え、組織の全体像が複雑になったようだ。研究センター、研究ラボ、研究部門と地域センター(研究拠点)の組織及び人的関係、更に時限的な研究センターがCOEを目指したものなのか否かが外部からは理解しがたい。例えば、「東北センター」は、研究センター、研究ラボ、研究部門の組織・人員を含むのか、判然としないのが現状であろう。また、往時に比べ、流動研究員やポスドク等外部からの研究員を含め数倍の人達が、お互いに刺激し合って成果を競うのは活性化に大いに役立っていると思われるが、人間関係が希薄になったように感じられるのは何故だろうか。組織は人間関係に立脚しているので、人間関係を大事にし、必要があればOBを活用することも必要であろう。

  産総研に改編後、外部の研究者から「○○に関する研究は、どこの研究所に相談すれば良いか」と問われたことも多々あるが、研究課題を付した研究センターが該当しない場合は、仲介の労をとるのが現状では非常に困難である。研究成果の実用化、企業との共同研究をより積極的に図るには、組織の認知度に加え、外部から研究内容・成果・担当者に容易にコンタクトできるシステムを確立する事が重要と思われる。

  東北センターが、ナショナルセンターの一翼を担い、新技術の開発に邁進するとともに、産学官連携による東北地域の技術振興のコーディネーターとしての役割を果たす事を期待するものである。