化学と化学工業の発展により様々な化学物質を「大量」にかつ「安価」に供給することが可能となってきた一方で、使用する原料、触媒、あるいは副生する化学物質が、地球環境や人体へ悪影響を及ぼす例も多く指摘されています。筆者らは「超臨界二酸化炭素溶媒と固体触媒とを組み合わせた多相系反応システム」を提案し「環境負荷の小さい、高効率・省エネルギー型化学プロセス」の応用展開をしてきました。一連の研究は、社会と経済のニーズのための技術開発であり第二種型に分類されます。その一方で、超臨界二酸化炭素溶媒中での固体表面の触媒作用は通常の有機溶媒中とは異なった挙動を示すことも見出してきました。今回のワークショップでは、この第二種基礎研究中に見出された未知現象を解明するための第一種研究が、「目的が明確化され」かつ「時限付の」センター内で本格研究を遂行するに重要であることを議論しました。