(白井誠之 記)
(蛯名武雄 記)
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有機反応チームではそれぞれのメンバーが複数の反応を掛け持ちしています。バックグラウンドが理学、工学、薬学と多岐にわたっていることも手伝い、自由な発想の元、常勤・非常勤という区別なく、気軽にディスカッションできる雰囲気で研究を進めています。メンバーの平均年齢が30歳前半ということも明るく元気な雰囲気を作っていると思いますが、何よりもメンバー全員が研究が大好きであることが特長です。有機反応チームでは“超臨界流体を利用した有機合成化学の実用化”を目指して研究を進めたいと思います。
粘土は太古より人類との付き合いが深い材料です。旧石器時代から土器が作られ始め、もっとも古い文字は、紀元前四百年頃にメソポタミアでシュメール人によって、粘土板に記されました。その後粘土の利用は多方面に広がり、膨潤性粘土は1000の用途を持つ材料と呼ばれています。しかしながら粘土それ自身を膜として実用化した例はありませんでした。
私たちは、最近粘土を膜として成型する技術を開発しました。膜の感触は半透明の腰の弱い柔らかい紙といったところです。膜は厚さ1nmの薄い板状の粘土結晶からできています。この粘土結晶は膜の中で同じ向きに緻密に重なっており、支持体なしで取り扱うことができます。さらに無機化合物であることから耐熱性や耐薬品性にも優れています。私たちは何千年の粘土と人類の歴史においてこれまで存在しなかったこの粘土膜の可能性に注目しました。特に高温条件下でのガスバリア性に優れていることが明らかになっています。
また粘土は種々の化学種との親和性が高いことから、これを用いたナノ複合材料の開発を行っています。ナノ複合材料は支持体成分(ホスト)と機能性成分(ゲスト)からなっており、「分散相の大きさが1〜100nmの領域にある複合物」と規定されています。例えば粘土のような無機化合物を有機修飾することによって、ある種の有機化合物が吸着しやすい有機-無機複合多孔体を合成しています。このようなタイプの多孔体は、各種有機物吸着材や分離材、マイクロカプセルなどの広範囲な分野での応用が期待できます。