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この図での生成物であるフェノール系化合物はプラスチック(フェノール樹脂)や医薬品・香料の原料となります。イソソルビドとフランジカルボン酸を反応させると、やはりプラスチック(ポリエステル樹脂)になりますが、石油から合成するのは難しい高機能樹脂です。 現在担当しているのは、図の下の段、オレンジ色の矢印の反応経路です。2段階の反応のうち、後半はつくばで研究してきた貴金属ナノ粒子を触媒とした酸化反応の経験を生かせますが、前半の反応についての研究は新しい取り組みとなります。中間生成物のHMF は、さらに水素と反応させることにより燃料の添加剤となるなど可能性を秘めた重要な物質だと考えていて、やりがいを感じています。 まず、触媒を作ります。固体触媒の作り方は、簡単に言うと「材料を混ぜて焼く」。 触媒ができたら、効果を確かめるための実験をします。対象の物質と触媒を反応容器に入れ、高温高圧の状態で混ぜて反応させるのですが、機械が温度と圧力を調整しながら長時間かき混ぜてくれます。 反応が終わったら冷やして取り出し、精製してから分析します。分析の結果、うまく行っていれば反応の効率をより高めることができる成分組成を探すため、うまく行かなかったら方針を変えて、ふりだしの触媒作りに戻ります。材料の混ぜ方を少しずつ変えて実験を繰り返すのです。反応実験は1日で結果が出ますが、触媒作成は数日から1 〜 2 週間かかることもあります。 |
これまでの研究生活で、もったいないなぁと感じていることがあります。自治体などで使用済み天ぷら油からディーゼル燃料をつくるシステムを持っているところがありますが、燃料にする過程で大量の余剰物が出るのです。その中に含まれているグリセリンも触媒反応によって高機能樹脂の原料などに変換することができます。バイオマスを燃料にして燃やすだけではなく、同時に副産物として付加価値の高い樹脂を作るような仕組みをつくれないかと考えそのような研究にも興味があります。 研究発表や一般公開などイベントに参加する機会が増えました。東北では学会活動にしても所内のイベントにしても役割が多いので、積極的に参加し自分の研究をアピールしていきたいと思っています。 生まれは米沢で、小中高校時代は八戸で過ごしたこともあって、東北での生活が気に入っています。つくばでは硬式テニス部にいましたし、体を動かすのが好きなので、休みの日にはジムでトレーニングをしたりしています。昼休みには軟式テニス部のメンバーに硬式にもお付き合いいただいたりしながら、テニスコートで汗を流しています。 転勤が決まってから、つくばからの装置類の引越し準備などでお世話になり感謝しています。これからは、東北センター発の触媒技術を世界に発信できるように、これまで以上に研究に励み貢献していきたいと思っています。 |