産総研 東北 Newsletter
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2010年4月より、東北センターに待望の新人、牧野 貴至さんが配属されました。今後、牧野さんはイオン液体についての研究を実施します。今回はそんな牧野さんに自己紹介をしてもらいました。
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出身は?
 大阪生まれです。ずっと関西に住んでいたので、東北地方は初めて来ました。
仙台の印象はどうですか?
 仙台に引っ越して最初に感じたのは”寒い”(笑)。やっぱり気候の違いには驚きました。それから食材が豊富ですね。 魚もそうですが、野菜も豊富で鮮度も高いのが嬉しいです。
東北センターに来たきっかけは?
 前の職場で、物質の分離技術の研究をしていました。 その過程で興味を持ったのが、イオン液体研究キーワードです。
イオン液体は、不揮発性の上、難燃性です。また二酸化炭素をよく溶かす物質として注目されています。私は、安全性が高くて環境にも優しい二酸化炭素の分離・回収材料を実現できるイオン液体のポテンシャルに惹きつけられました。東北センターはイオン液体を使ったガス分離の分野では世界有数の研究所です。私もこの分野の研究を行いたくて東北センターに来ました。
東北センターの印象は?
  職員みんなの距離が近い感じがします。アットホームな感じがする環境が気に入っています。
今後はどんな研究を?
 イオン液体を使って、地球温暖化に関係している二酸化炭素を分離・回収する技術を開発していきます。イオン液体自体の改良のほか、将来的には、東北センターが持っている様々な技術と融合して、低コストで高性能な二酸化炭素分離材料を開発できたらと夢見ています。
 趣味はソフトボールや野球・スキーという牧野さん。これからもよろしくお願いします。

研究キーワード 新連載となるこのコーナーでは
今号に掲載された専門用語を簡単に解説します。
キーワード X
 X線は目に見える光(可視光)と同じ電磁波の一種です。波長は可視光や紫外線より短く、10ナノメートル〜1ピコメートル(10万分の1〜10億分の1ミリメートル)程度です。
  X線は物質を通り抜ける(透過する)性質を持ちます。このX線の透過量は物質の種類により変化する特徴があります。レントゲン撮影は、X線の透過量が、筋肉や骨などを構成する物質の種類の違いにより変化する性質を利用して、体の臓器や器官を撮影する技術です。
  X線のもつもうひとつの性質は、物質の原子組成や結晶構造など、分子レベルのレイアウトの違いによって、進行方向がわずかに変化する(回折)ことです。この方向変化の程度を検出することで、物質の構造特定に応用できます。

キーワード
 ゼオライトは直径0.5〜2ナノメートル程度の細かい“孔”が規則的に並んだ構造を持つ鉱物です。ゼオライトは細孔構造(孔のサイズや並び方)の違いによって190種類以上に分類されています。そのうち40種以上が天然に存在し、そのほかは人工的に合成されたものです。ゼオライトは、石油精製(触媒)、吸湿材、水質浄化材、脱臭剤、バリヤー剤、重金属イオンの捕集剤、洗浄剤、陶磁器、鋳物、土木建築、紙、化粧品やプラスチックの充填剤などに利用されています。さらに、脱水膜や調湿剤などとして幅広い産業分野で利用されています。
キーワード
 自らの組成を変えることなく、化学反応を促進する働きを持つ物質のことです。近年では、光触媒などが注目されています。酵素も生体内で作られる触媒です。
  触媒を用いると省エネルギーで化学反応を促進させることができるため、環境に優しい化学産業を実現するツールとして期待されています。

キーワード
 ケイ素や酸素を主成分とし、タイルのように平らな結晶が何層にも積み重なった構造をした化合物の総称です。天然粘土の多くが層状ケイ酸塩に分類されています。また、PLS-1やHLS のように人工的に合成された化合物もあります。

キーワード
 イオン液体は、食塩(塩化ナトリウム)のようにイオンで構成されている物質です。常温で固体ではなく液体として存在しているため、イオン液体と呼ばれます。不揮発性・難燃性などの特徴を持っています。
  これらの特徴から、電池材料や化学反応などに利用できる環境に優しい溶媒として注目されています。さらに、二酸化炭素などのガスを吸収する性質にも優れており、二酸化炭素の分離媒体としても期待されています。


http://unit.aist.go.jp/tohoku/ UP