年度から産総研は第3期に移行しました。今期では、経済と環境の両立、国民生活向上への研究開発による貢献など、21世紀型課題の解決を目指して、グリーンイノベーション、ライフイノベーションに向けて積極的な活動を進めていくことになります。その中で新たに設立されたコンパクト化学システム研究センターでは、産総研の“環境・エネルギー分野”の研究ユニットとして、産業の環境負荷を減らす化学・材料技術の新しい研究開発に取り組んでいきます。
本研究センターでは、これまでの研究成果をふまえて、1)高温・高圧条件を利用する反応方法や反応装置のシステム化、2)無機膜材料や微粒子、ハイブリッド材料などの無機材料とその利用方法の開発、3)化学反応の省エネルギー化・高効率化に役立つ、新たな触媒や反応方法・反応装置の開発、の3つをコア技術として、それぞれの分野の新しい技術の開発や実用化研究はもとより、分野を超えた技術融合による新しい応用展開にも取り組んでいきます。 |
さらに、旧コンパクト化学プロセス研究センターでこれまで培われた技術や成果の実用化に向けた活動も、積極的に進めます。
もう一つ、本研究センターの活動方針に掲げているものが、地域への貢献です。二酸化炭素利用塗装技術など、地域のものづくり産業と連携して環境への負担を減らす技術を共同で開発していくほか、粘土などの地域資源を有効に活用した新材料・新技術を開発することによって、地域産業のブランド力を高めることにも貢献したいと考えています。
また、産学官連携のためのコンソーシアム活動もさらに推し進めていきたいと思います。本研究センターのシーズと産業界のニーズのマッチングを目指した“グリーンプロセスインキュベーションコンソーシアム”、産総研の持つ計測・分析技術を紹介する“東北分析・計測科学技術コンソーシアム”に加え、今年度から粘土膜技術の応用展開を促進するための“Clayteam”が設立されました。コンソーシアムのネットワークを利用することで地域内・地域間の交流を深めて地域産業の活性化に努めるとともに、東北センターの存在感をアピールしていきたいと考えています。
産総研の発足以来、東北センターでの研究ポテンシャルは確実に高まってきたと感じています。このポテンシャルを活用して、産総研の他の研究組織や企業・大学との連携を強めていきたいと思います。そして、産総研から世の中に出る成果の中でも「あの研究は仙台発だな」と思ってもらえるような結果を、数多く出していけることを願っています。 |