産総研 東北 Newsletter No.26
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連携ということ 前東北経済産業局長 赤津 光一郎
 産総研コンパクト化学プロセス研究センター ナノ空間設計チームは、椛D井電機 新応用技術研究所と共同で、メソポーラスシリカ多孔体を用いた新しい酵素センサーの開発に成功しました。
 このセンサーでは、メソポーラスシリカのもつ直径約8nmの細孔に、ホルムアルデヒドと反応する酵素を埋め込む事により、従来の酵素センサーに比べ高耐久性をもたせることに成功しました。さらに、センサーの感度と応答速度を向上させるため、酵素と電極間の電子のやりとりが円滑になるよう改良してあります。
 ホルムアルデヒドは、代表的なVOCであり、シックハウス症候群の原因物質として規制されています。
 今後は、開発した技術を応用して、環境中の有害物質をモニタリングするシステムの開発・実用化を目指します。

研究キーワード 新連載となるこのコーナーでは
今号に掲載された専門用語を簡単に解説します。
 マイクロ波は、周波数300MHz〜300GHz(波長1m〜1cm)の電磁波です。マイクロ波は、レーダー、衛星放送や携帯電話などの通信に用いられています。
 マイクロ波を水やマイクロ波を吸収する材料に照射すると熱が発生します。この原理を利用した調理器具が、電子レンジです。現在は、この原理を利用した熱化学反応プロセスの開発が行われています。
 揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)の略称です。VOCは、光化学スモッグの原因となったり、シックハウス症候群に代表される健康被害の原因となる物質です。代表的なVOCとしては、塗料の溶剤として使われるトルエンやベンゼンなどが挙げられます。
 現在は、大気汚染防止法によりVOCの排出規制が行われています。
 定在波は、発振された波と、反射して戻ってきた波がぶつかったとき、発振された波と反射した波が、同じ振動数、波長、振幅を持っていた場合に生じる波です。
 一般的に波は、進行方向に向かって進んでいきますが、定在波は、見かけ上、その場に止まって振動しているように見えます。反応容器の中で定在波が生じるようにマイクロ波を照射する方法は、容器内にマイクロ波が与える熱エネルギーを想定・制御しやすいため、安定した加熱が実現できます。
 メソポーラスシリカは、直径2〜50nm程度の孔を持つ耐熱性・耐腐食性の高い鉱物です。この孔と同程度の大きさを持つ酵素を孔の中に取り込むことで、酵素の立体構造が壊れにくくなるため、例えば高温条件や酸性条件の下でも、酵素活性を維持する事ができます。
 酵素センサーは、酵素を用いて物質の濃度を測定します。酵素は、特定の物質を認識する性質があるため、環境中や生体試料中のような多成分試料の中から、特定の成分について高精度に測定する用途に応用できます。
 水素は、次世代の電気自動車やロケットの燃料等に利用される物質として注目されています。
パラジウム(Pd)は、水素を選択的に透過する性質を持ちます。この性質を利用し、パラジウム薄膜を用いて、水素を省エネルギーかつ効率的に分離・精製する方法が研究されています。



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