産総研 東北 Newsletter No.26
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ハノーバーメッセに出展して独立行政法人 産業技術総合研究所
コンパクト化学プロセス研究センター 材料プロセッシングチーム長 蛯名 武雄
“地域産業の強化”をめざして
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年、東北地域には、関東や中部から多数の企業が進出してきています。東北の企業も、これらの企業と連携していきたいところですが、技術的なハードルや製造コストの問題などから、なかなか参入できていない現状があります。そこで、産総研は、公設研や大学と協力して、企業の技術力の向上を図っていきたいと考えています。現在、経済産業省は、地域の人材・技術の効率的な活用を目指して、地域イノベーション創出共同体形成事業(以下、地域イノベと表記)を推進しています。産総研は、東北大学と共に、東北地域の産業界が抱える技術ニーズに効果的に応えていく体制を作るために、地域イノベを推進しています。
 地域イノベにおける産総研の役割は、“事業全体のまとめ役”になると思います。公設研は地域産業と密接な繋がりを持ちますが、県という枠に縛られているため、ある公設研が持つ技術を、他県の企業が活用したいと思っても、スムーズな技術支援は難しかったのです。そこで、県の枠を越えた公設研ネットワークを作り、得意技術を他県にも支援できるシステムを作る必要が生じましたが、その実現のためにはまとめ役が必要です。舞台装置を作って、そこにプレーヤーを集め、ひとつのステージにまとめる役割を産総研は受け持ちます。
 産総研では、産総研東北サテライトに“地域イノベーションネットワーク運営協議会事務局”(以下、事務局と表記)を設置しました。事務局を東北サテライトに置いた理由は、公設研や大学などとの連携の場として、交流しやすい立地のためです。加えて、産学官の交流の場としての実績があり、これまで培ってきた経験を地域イノベにも活かす事が出来ると考えたためです。
 活動内容は、1)地域産業技術動向の分析、公設研の持つ研究機器・技術情報のデータベース化の推進、2)事務局に東北地域の基幹産業分野(輸送機械・電気電子・食品)に対応するコーディネーターを配し、産業界の企業ニーズを収集、技術課題への解決策を提示する、3)公設研・大学が持つ技術情報を整理し、東北地域の技術ポテンシャルを一括して把握、強みを伸ばし、弱みは補強する事業の推進などです。
 地域イノベの実現により、公設研・大学のもつ技術が東北地域内で共有され、産業界の必要とする技術に対して、従来よりも迅速に支援できたり、企業ニーズのマッチングが容易になると期待しています。これからの時代は、従来にも増して産業競争力が重要になると思います。日進月歩で進歩する産業技術に対して、いかに迅速に対応できるか、地域イノベの推進によって、技術情報の収集・支援の円滑化が実現できれば、東北産業界の競争力の強化・維持に大きく貢献できるでしょう。そのための仕掛け作りを、今、私たちは始めたのです。

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【写真】
産総研東北サテライトは、地域イノベ推進の拠点として活躍しています。




http://unit.aist.go.jp/tohoku/ UP