GDC

世界の情報サービスを支えるデータセンターの電力消費は、現在、総電力の約3%を占める程度ですが、今後は益々増大の一途を辿って2030年にはその10%を大きく超えていくとの予想がなされています。このように、社会の真の持続発展には、データセンター技術の飛躍的な高効率化が欠かせません。しかしながら、ムーアの法則が減速する今、従来の様に個別技術をそれぞれ高性能化する取り組みだけではこの課題を解決することが困難です。

当協議会は、産総研コンソーシアムの一つとして、2022年4月に設立されました。次世代グリーンデータセンターをキーワードに光電融合技術、省電力チップ技術、ディスアグリゲーション技術の研究開発・事業者に加え社会実装に必要なバリューチェーン、データセンター事業者等とともに情報共有、意見交換から新規の共同研究開発/標準化活動の提案などを行います。同時に、NEDOグリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」における「次世代グリーンデータセンター技術開発」プロジェクトを円滑に進める機能も内包いたします。

活動体制は下図の通り、「次世代グリーンデータセンター技術開発」プロジェクトの共同事業者による「システムアーキテクチャ検討部会」、広く光電融合実装技術に関する議論を行う「光電コパッケージ技術検討部会」、これら技術の社会実装に関する議論を行う「社会実装推進部会」で構成され、それぞれ必要に応じて互いに連携しながら活動を展開致します。これらの活動を通じて日本のデバイス・システムの国際競争力の強化を目指し、社会の持続的発展に貢献して行きます。

次世代グリーンDC協議会

会長挨拶

協議会会長の並木

協議会会長を務めます、産総研プラットフォームフォトニクス研究センター長の並木でございます。本協議会は、プラットフォームフォトニクス研究センター内に設立されています。当センターでは、次世代コンピューティング基盤戦略*に基づき、集積光デバイス、光電融合実装、光ネットワーク仮想化に関する研究開発を推進しています。

6Gの時代では、クラウドだけでなく、エッジコンピューティングの重要性も高まると考えられます。両者を効率的に繋ぐ光通信技術は、1980年初頭から電話網への応用で普及が始まり、2000年前後からはインターネットやデータセンターへ適用され発展を遂げてきました。現在はまさに、サーバーなどの情報機器の中に光通信技術が適用されようとしており、光電融合技術の創出が重要となっています。

本協議会では、コンピューティングと光通信の技術者とが密接に議論を重ね連携して光電融合技術を共創する機会を提供し、次世代グリーンデータセンター用デバイス・システム技術で日本が世界をリードできるように貢献したいと考えています。皆様のご指導・ご協力をお願いいたします。
*:https://unit.aist.go.jp/rp-eleman2022/NGCI/

副会長挨拶

協議会副会長の安里

協議会副会長を拝命した富士通の安里でございます。これまで10年あまり、富士通にて「京」や「富岳」といったスーパーコンピュータの開発に携わって参りましたので、スーパーコンピュータに関しては一通りの知識や経験がありますが、データセンター向けシステムの開発に関わるのは初めてとなるため、一から勉強しながら取り組んでおります。開発にあたっては、スーパーコンピュータで中心となる科学技術計算アプリケーションと、データセンター向けアプリケーションでは特性が異なり、従ってシステムに求められる要件も大きく違うことを意識する必要があります。

一方で、本プロジェクトがメインターゲットに掲げている省電力という観点では、スーパーコンピュータと共通する部分が多く、「富岳」での経験が活かせるとも考えております。

いずれにしましても、本プロジェクトの成功に向けて微力ながら貢献していく所存でございますので、よろしくお願いします。