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量子コンピュータの研究開発
量子デバイスの開発

量子コンピュータの研究開発

量子アニーリングマシンは、最適な答えを見つけ出す手法の1つで、膨大な選択肢から、制約条件を満たし、かつベストな選択肢を探索する組合せ最適化問題に適しています。
 我々は、独自の量子アニーリングマシン用量子ビット(超伝導子パラメトロン)と量子ビットのスケールアウトが容易な超伝導量子素子、超伝導デバイスを稼働するための極低温動作実装技術、 これらのハードウェアを制御するための量子アニーリング理論の研究開発を進めています。
 これらの研究開発により、従来技術をはるかに上回るスピードで組合せ最適化問題を計算できる量子アニーリングマシンの実用化を目指します。さらには、量子アニーリング技術のユースケース拡充を図り、 時間短縮やエネルギーの削減などの、社会的な変革の推進により、明るく豊かな社会づくりに貢献していきます。
  • 量子コンピューティングの理論、特に量子アニーリングの理論
  • 超伝導素子開発
  • 極低温動作実装技術
  • 量子コンピューティング、特に量子アニーリングの理論

    量子アニーリングは量子効果を利用した計算手法の一つです。近年ではその計算能力に期待がかけられているだけでなく、ハードウェア実装や実社会の問題への適用など、幅広い研究開発が盛んに行われ注目されています。
     我々はそれらを支える基礎的な理論の研究を行っています。計算効率を上げる量子効果の利用法やより良いアルゴリズムの開発、またそれらの具体的な問題への適用などを通して、量子アニーリングの深い理解と効果的な応用へ貢献することを目指しています。
    量子アニーリングは、複雑な構造をもつシステム全体のエネルギーが最低になるような各変数の値を見つけ出す。 量子重ね合わせ状態から量子効果を弱めていき、最低エネルギー状態へ遷移させる。

    超伝導素子開発

    超伝導回路を用いて量子ビット(量子コンピュータで情報を扱う最小単位)を実現する研究を行っています。具体的には、超伝導パラメトロンと呼ばれる、 磁場に対して非線形なインダクタンスを持つ超伝導のLC共振回路からなるジョセフソンパラメトリック発振器の、位相の異なる2つの発振状態を0,1状態として利用するタイプの量子ビットを研究しています。
     現在は少数ビットの動作確認の段階ですが、将来の量子ビットの大規模集積化を目指して、素子の設計からクリーンルーム内での半導体プロセス、希釈冷凍機を用いた評価とデータ解析までを、 産総研新原理コンピューティング研究センターと緊密に連携しながら行っています。
    超伝導量子ビットの等価回路図とサンプルホルダ―

    極低温動作実装技術

    量子コンピュータを構成する量子ビットを多数・高密度で構成し、適切に外部との処理信号のやり取りを実現させることを目的として、量子チップをインターポーザ(中間基板)にフリップチップ接続し、 さらにボードに設置する3次元実装構造を研究開発している。
     特にインターポーザにおいて、量子ビットの性能を得る材料構成、電磁界を考慮した回路設計、極低温動作における応力やひずみへの耐性を有する接続構造や全体構造、温度制御を安定化させる全体構造を代表とした活動を推進しています。
    3次元実装概略図
      

    量子デバイスの開発

  • 量子センシング
  • マテリアルズ・インフォマティクス
  • カーボンナノチューブ
  • 赤外放射制御
  • 高感度赤外線センシング
  • 量子センシング

    量子センシングとは、量子化された離散的なエネルギー準位を用い、従来技術を凌駕する超高精度計測を実現する技術です。量子系においては、安定な量子状態間の遷移に伴う透過スペクトル等の共鳴線幅が極めて鋭く微細です。 このため、このエネルギー準位を周波数標準として利用すれば、超高精度に時を刻む時計を実現することができます。また、加速度や磁場に起因する準位の微小なシフトを光で検知すれば、超高感度なセンサとしても使えます。
     我々はこれらの技術を、次世代の超大容量無線通信で求められる高精度なアンテナ間時刻同期や、正確な位置計測に基づく高度な自動運転などに応用することを目指し、研究開発を進めています。
    量子センシングの概念図:鋭く微細な量子準位を周波数基準として利用し、
    超高精度な時計や超高感度なセンサを実現

    マテリアルズ・インフォマティクス

    マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは、ロボティクスを組み込んだサンプル作製技術や、自動評価技術による一括データ生成、そして機械学習技術を使ったデータ解析などを駆使して行う材料開発の手法です。 近年、多くの成功事例が生まれており、材料・デバイス研究開発の国際競争力を高める手段としても注目が集まっています。
     データ解析技術は日々進化を続けており、より精度の高い予測モデルを作製するだけでなく、知識やノウハウなどの言語化されたデータを活用したモデルの評価、検証なども行うことも可能になります。 これらの新しい技術を活用して、研究開発力を大きく向上するため、取り組みを進めています。
    MIを用いた材料開発のフローと要素技術の概要
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    カーボンナノチューブ

    カーボンナノチューブ(CNT)は、日本が発見した最も魅力的なナノ構造材料の一つで、優れた物性・化学的安定性を持っています。 特に、半導体的な特徴のCNTによる電界効果トランジスタ、化学センサ、光エレクトロニクス素子応用に大きな期待がもたれています。
     我々は、これらに必須の高純度半導体型CNTの製造基盤技術(電界誘起層形成法(ELF法))を開発し(左図)、それを使ったセンシングデバイスの研究開発を行っています。 例えば、基板上に半導体型CNTを高密度、且つ、配向させることで、赤外線を高感度に検出することが可能です(右図)。今後、革新的な赤外線センサ技術開発により、様々な社会課題を解決していきます。 。
    ELF法(左図)と赤外線センサ電極(右図)の概略図

    赤外放射制御

    熱エネルギーの活用において、熱放射の制御は重要な技術の一つです。本テーマでは、熱放射スペクトルの制御を可能とするセラミックス材料について研究しています。
     希土類イオンや遷移金属イオンの電子遷移を活用すると共に、セラミックスに空孔を導入することで、特定バンドの共鳴・増強および散乱による広帯域透過抑制により赤外放射スペクトルを制御しています。
     これらのセラミックス材料を熱光起電力(TPV)発電のエミッタや新規センシング技術へ応用することを目指して研究開発を進め、赤外線放射制御技術により持続可能な社会の実現に貢献していきます。
    空孔を導入したYb3Ga5O12セラミックス(YbGG)の破断面(左)と
    空孔率を変化させたYbGGの放射率スペクトル(右)

    高感度赤外線センシング

    近年、従来使われているHgCdTeを材料とした量子型赤外線センサに比べ、理論的な性能向上が期待できかつ環境負荷の小さいType-Ⅱ超格子を用いた赤外線センサが注目されている。
     我々は、薄膜のナノ構造制御により、Type-Ⅱ超格子の光吸収層を作製し、それによる高感度赤外線センサの研究開発を行っています。図は、アレイ素子のデバイス構造(下図)とセラミックキャリアに実装されたアレイ素子(上図)です。 図のようなType-Ⅱ超格子によるPIN構造の素子を作製することで、1.5~3.5mの中赤外領域での高感度化を実現することができます。今後、ライフソリューション分野を含め様々な分野に適応した革新的な赤外線センサ研究開発を行っていきます。
    アレイ素子のデバイス構造(下図)とセラミックキャリアに実装されたアレイ素子(上図)

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