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CNT-RAM -グリーンイノベーション基金事業-

カーボンナノチューブ不揮発メモリ(CNT-RAM)開発

いま、世界のデータ量は年間約30%のペースで急増しており、それに伴い、データーセンターサーバの市場は拡大の一途を辿っております。2018年時点で、全世界の発電量の1%の電力消費が、データーセンターで利用されているとの試算もあり*1、今後の大規模データセンターの増大により、電力消費のさらなる増加が予想され、これまでの技術進化では電力消費量の増加に追いつかないと予想されています。
データーセンターでの大幅な省エネの要請が高まる中、その省エネ化を実現する要素の一つとして、データセンターサーバに用いられ、常に給電が必要な揮発性メモリであるDRAMの代替として、給電を停止しても記憶内容が失われない不揮発性メモリが注目されています。

当研究センターでは、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という日本政府の目標の下、経済産業省がNEDOに総額2兆円で造成したグリーンイノベーション基金事業*2のなかで、日本ゼオン様が採択された「次世代デジタルインフラの構築*3,*4/次世代グリーンデータセンター技術開発/光に適合したチップ等の高性能化・省エネ化技術の開発」(2021年度から10年間)*5,*6,*7のプロジェクトに参画し、日本ゼオン様を中心とした企業および大学と共同で、データーセンターサーバの省エネ化に資するDRAM代替を狙うカーボンナノチューブ不揮発性メモリ(Carbon nanotube Random Access Memory: CNT-RAM(仮称))の開発を行います。

カーボンナノチューブ不揮発性メモリは、カーボンナノチューブを用いた抵抗変化型ランダムアクセスメモリで、数十nm膜厚のカーボンナノチューブ膜の素子を電極で挟み込むシンプルな構造で構築され、電極間の電圧印加により、素子が低抵抗状態や高抵抗状態に変化し、不揮発性メモリとしての機能を発現します。このように不揮発性メモリでかつシンプルな構造であることから、低消費電力化が期待できるばかりでなく、デバイスの配線層にCNT膜を成膜する簡易な製造プロセスで製造可能であり、低コスト化も見込まれています。



このCNT-RAM開発において、産総研および当研究センターではこのプロジェクトの中、CNT-RAMのカーボンナノチューブ膜を形成する「革新的スラリーの開発」、分散液のメモリ特性を評価する「テストデバイス開発」、CNT-RAM動作メカニズムを評価解明する「評価解析技術の開発」を行なっています。



*1 ENERGY INNOVATION “How Much Energy Do Data Centers Really USE?”
*2 経済産業省 グリーンイノベーション基金
*3 経済産業省 グリーンイノベーション基金 「次世代デジタルインフラの構築」事業概要
*4 経済産業省 グリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画
*5 NEDOグリーンイノベーション基金事業
*6 NEDOグリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」
*7 日本ゼオン株式会社「光に適合したチップ等の高性能化・省エネ化 不揮発メモリ開発」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択

連絡先

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ナノカーボンデバイス研究センター

〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 中央第5
Eメール:cnt-comp-info-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信ください。)

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