- 組成標準物質の開発及び供給
- 環境・食品分析における妥当性確認、精度管理、更には分析者の技術教育等に有効な組成標準物質を開発しています。これらの標準物質は、ISO Guide
34に基づいたマネジメントシステムによって生産されており、計量計測トレーサビリティが確立されたものです。値付けを行う我々の分析能力は、国際比較試験への参加を通じて他国との同等性が確認されているため、生産された標準物質は国際的に認められています。この他、新たな標準物質開発のための基盤技術の開発も行っています。
- 分析実務者の技能向上支援
- 標準物質開発等の経験で蓄えた知識と技術に基づき、分析現場の技能向上支援活動を展開しています。これまでに、分析現場における技術課題の抽出と改善サポートを目的とした技能試験と講習会の一体型プログラム「分析技能向上支援プログラム」を提供する等の活動を行ってきました。現在は、個別技術相談等の技術コンサルティングサービスを中心に、分析現場の技能向上支援活動を展開しています。
分析技能向上支援プログラムに関しては、パートナー企業が事業を継承しており、我々は、技術コンサルティングサービスの一環として、参照値の値付け、技術相談及び講習会等に協力することで事業を支援しています。
- 無機計測技術の開発及び高度化
- 標準物質の値付けのための高精度分析技術の開発のみならず、化学分析の信頼性確保に役立つ分析技術及びデバイス開発等の研究にも注力しています。デバイス開発に関しては、民間企業との共同製品開発にも取り組んでいます。
現在、下記の研究テーマに取り組んでいます。
・単一粒子誘導結合プラズマ質量分析法（spICP-MS）によるナノ粒子分析システムの開発
spICP-MSは、ナノ粒子の元素組成、個数濃度、サイズ情報の取得を可能とする比較的新しい分析法であり、様々なナノ粒子含有製品における粒子の特徴付けや環境中での粒子の挙動解析等のツールとしての活用が広まりつつあります。我々は、より精確かつ簡便な個数濃度・サイズ情報の取得の実現を目指した分析システムの開発を推進しています。
・ひ素糖類分析法の確立
ひ素糖類は海藻等に含まれる有機ひ素化合物の一つであり、食品・環境分野だけではなく、生体・医薬学分野でも多くの研究が行われています。しかし、標品となる純物質がないため、分析結果の妥当性や挙動には不明確な部分があります。本研究では、定量の際に有用な純物質の開発と、それを用いた分析手法の確立に取り組んでいます。
・全自動pH調整装置の開発と応用
試料液のpHは、キレート樹脂を用いた固相抽出の結果の質を左右する主要因です。最適なpH範囲は、抽出剤の種類や目的元素によって異なり、プロトン濃度
[H+] を10−6 mol L−1レベルで正確かつ精密に調整する必要がある場合もあります。また、pH調整時の微量元素のコンタミネーションのコントロールも大切です。本研究はpH調整の正確さと精度を確保し、コンタミネーションを抑制した自動化装置の開発と普及を目指しています。