国際競技大会に出場する選手などが対象となるドーピング検査は、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が公示するドーピング禁止物質のリストに基づいて行われています。近年、ドーピングの多様化によって禁止物質は増え続けており、現在は数百種類にも及びます。 本研究ラボでは、産総研が世界に先駆けて実用化した定量核磁気共鳴分光法(qNMR)などの校正技術をさらに高度化させて、迅速さと正確さを兼ね備えたドーピング禁止物質の分析技術を開発し、国際単位系(SI)にトレーサブルな分析基盤を構築します。本研究ラボで構築した技術は、NMIJから認証標準物質や校正サービスとして、また、試薬メーカーなどを通じてNMIJトレーサブル標準物質として、検査分析機関に供給する予定であり、オリンピックなどの国際競技大会でのドーピング検査基盤強化への貢献を目指します。
研究内容
ドーピング禁止物質の多くは大量に合成することが難しい代謝物などであるため、qNMRに影響を与える不純物のみを取り除く安価な候補標準物質の合成・精製技術の確立や、標準物質を大量に消費しないために低濃度化した溶液の安定性確保に向けた要素技術の開発を行います。また、低濃度溶液でも正確な測定ができるようにするための高感度qNMRの実用化、qNMRの正確性に影響を与える類似構造の不純物を排除する手法を開発します。これらqNMRおよび周辺技術を高度化することによりSIにトレーサブルな分析基盤を構築し、NMIJから認証標準物質や校正サービスとして、また試薬メーカーなどを通じてNMIJトレーサブル標準物質として、検査分析機関に2019年度から順次供給する予定です。また、将来的には構築した分析基盤をドーピング禁止物質以外にも拡張させて、臨床検査薬など社会的要請の高い分野に展開したいと考えています。
更新情報
2019年 6月 3日 | お知らせ | ドーピング検査標準研究ラボのホームページを作成しました。 |
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2018年 7月 2日 | お知らせ | 物質計測標準研究部門を中心にドーピング検査標準研究ラボを立ち上げました。 |
メンバー
氏名 | 領域・ユニット | |
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井原 俊英 | 研究ラボ長(計量標準総合センター 物質計測標準研究部門) | |
伊藤 信靖 | 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 | |
川口 研 | 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 | |
斎藤 直樹 | 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 | |
黒江 美穂 | 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 | |
山路 俊樹 | エレクトロニクス・製造領域 スピントロニクス研究センター | |
連絡先
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門
〒305-8569 茨城県つくば市梅園1-1-1 つくば中央第3
電話:029-861-4346(計量標準調査室) FAX:029-861-4099