当研究グループの研究開発の過程で得られた技術のポイントを紹介します。
ナノセルロースの凝集を高度に抑制して乾燥するためには。
- 内容
- 大量の水に分散した状態で製造されるナノセルロースを凝集を抑制して乾燥することは容易ではありません。当研究グループでは,通サンプルは,t-ブタノール置換による凍結乾燥方で乾燥ナノセルロースを調製し,比表面積測定や高分解能電子顕微鏡観察などに供しています。しかし,この方法も十分とは言えない場合もあります。そこで,当グループでは,超臨界二酸化炭素を用いた,臨界点乾燥装置も用いています。
- 装置写真
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- 測定結果
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試 料 |
比表面積(m2/g) |
木粉(100μm)/原料 |
4.6 |
↓リグノセルロースナノファイバー を製造して乾燥処理↓
※固形分濃度5wt%でディスクミルで製造 |
水系から直接凍結乾燥 |
16 |
t-ブタノール置換凍結乾燥 |
144 |
臨界点乾燥 |
180 |
- 解説
- 以上のように,臨界点乾燥を行うことで,比表面積が高い乾燥試料を作製することができました。しかし,当グループの試験では,臨界点乾燥の効果が発揮されにくい試料もありました。また,臨界点乾燥は,水分散ナノセルロースをそのまま装置には投入できません。一般的に,臨界点乾燥では,試料チャンバーに,超臨界二酸化炭素の注入・排出を数回繰り返します。そのため,試料は排出されないように,何かの方法(化学的方法が多い)で固化(ゼリー状)した後,試料中の水を,濃度の異なるエタノール水を用いて数段階で完全にエタノールに置換します。この試料を臨界点乾燥装置に投入して乾燥しますが,条件にもよりますが,数時間かかります。さらに,臨界点乾燥装置は設置に当たって,高圧ガス法の規制を受ける場合があるため,導入はそれほど簡単ではありません。
- 臨界点乾燥の状況
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- 装置・設備へのリンク
- 「特殊乾燥器」
・臨界点乾燥装置 / ライカマイクロシステムズ(株) Leica EM CPD300
追記事項
セルロース材料グループ