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セルロース材料グループでは、「作る」「知る」「使う」のサイクルで研究開発を進めています。


〒739−0046 広島県東広島市鏡山3-11-32
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
中国センター 機能化学研究部門

セルロース材料グループ

技術のポイントPRIVACY POLICY

当研究グループの研究開発の過程で得られた技術のポイントを紹介します。

化学処理なしで得られる幅3nmのナノセルロース(柑橘等由来)

内容
 様々な植物原料から、ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)を製造することができます。製造では、水と機械的処理が必須ですが、植物は強靱な細胞壁構造を持っているため、パルプを開始原料としても、簡単にはナノ解繊できません。繰り返しでの機械処理が必要となります。
 TEMPO触媒酸化法では、原料中のセルロース分子の6位を酸化して、カルボキシル基にし、水の浸透圧低下と静電的半発により、比較的簡単な機械処理でナノ解繊が効果的に進行し、幅3nmのナノセルロース(シングルセルロースナノファイバー)を得ることができます。つまり、基本単位であるセルロースミクロフィブリルまで、微細化することができます。
 一方、と木材(木粉)や木材由来パルプを、TEMPO触媒酸化法などの化学的処理を併用せず、単に機械処理のみでナノ解繊した場合、得られるナノセルロースの幅は15nm程度です。処理条件によっては、さらに微細なナノセルロースも生成しますが、量は多くありません。つまり、機械処理で得られるナノセルロースは、セルロースミクロフィブリルが複数本集合した状態にあります(なぜ、そのように状態になっているかは分かっていません)。
 しかし、植物を原料として、TEMPO触媒酸化法等の化学的処理を併用しなくても、柑橘類の果皮等からは、比較的簡単な機械処理のみで、幅3nmのナノセルロースを得ることができます。柑橘類果皮等は、木材のような強靱な細胞壁構造を形成しておらず、さらに、共存しているペクチン等の影響で、セルロースミクロフィブリルの集合も制限されています。これらのことから、柑橘類果皮からは、幅3nmのナノセルロースを得ることができます。ただし、製造時に、ペクチンを完全に除いてしまうと、ナノセルロースは集合するため、ペクチンの共存が重要です。
 
 柑橘類以外の果物や野菜などからも、幅3nmのナノセルロースを製造することができます。野菜ジュースは、原料を機械的にすりおろすなどの方法で製造されています。そのため、ジュースには、幅3nmのナノセルロースが含まれていることが考えられます。
 そこで、市販の野菜系ジュースを分析した結果、とても微細なナノセルロースが含まれていることが分かりました。
柑橘由来ナノセルロースと木材由来ナノセルロースの形状比較
柑橘由来ナノセルロースと木材由来ナノセルロースの比較
野菜ジュース中の、
幅3nmのナノセルロース
野菜ジュースに含まれる幅3nmのナノセルロース
参考文献等
1. Shou Hiasa, Shinichiro Iwamoto, Takashi Endo, Edashige Yusuke, Industrial Crops and Products, 62, 280- 285 (2014), “Isolation of cellulose nanofibrils from mandarin (Citrus unshiu) peel waste”.
2. Shou Hiasa, Akio Kumagai, Takashi Endo, Yusuke Edashige, Journal of Fiber Science and Technology, 72(1), 17- 26 (2016), “Aggregation inhibition of pectin-containing cellulose nanofibers (CNFs) prepared from mandarin peel”.

追記事項

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