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セルロース材料グループでは、「作る」「知る」「使う」のサイクルで研究開発を進めています。


〒739−0046 広島県東広島市鏡山3-11-32
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
中国センター 機能化学研究部門

セルロース材料グループ

研究紹介PRIVACY POLICY

当研究グループで得られた知見や開発した技術の例をご紹介します。

溶媒不溶のセルロース系サンプルの高分解能二次元NMR解析(HSQC法)

内容
 セルロースは古くから様々な分野で利用されており、アセチル化などの誘導体化により、さらに広い用途を獲得しています。しかし、セルロースは化学的には安定であるため、を溶解できる溶媒は種類が限定されています。アルコール等の汎用溶媒には全く溶解しません。そのため、セルロースを溶解して製造するレーヨン等再生セルロース繊維やセロハンでは、二硫化炭素などの特殊な薬剤が用いられています。
 NMR(核磁気共鳴)法、特に溶液NMR法は、分子構造解析ではとても強力なツールですが、セルロースが溶解できないため、特定の誘導体以外へは適応が困難でした。溶解せず固体のまま測定できる固体NMR法は、原理的に分解能が溶液NMR法より著しく低いため、精密構造解析は困難でした。
 溶液NMR法で用いるHSQC法(パルスシーケンス)は、比較的新しい方法です。この測定法では、分子運動性の高い部分の構想のみを観測する方法で、溶解しないサンプルでも膨潤させると適応可能性が高まります。
 当研究グループでは、HSQC法の応用範囲を広げるため、サンプルの運動性を高める前処理と膨潤させる溶媒の最適化を行う方法を構築しました。その結果、セルロースのアセチル化挙動を、導入部位まで特定して解析することができました。
 説明図は、ヘミセルロースが残存しているパルプを原料として、アセチル化挙動を解析した例です。このアセチル化セルロースは,溶媒には溶解できません。しかし、前処理として微細化・非晶化し、溶媒を選択するとこで、セルロース、ヘミセルロースの全てのシグナルを帰属し、導入部位も特定することができました。
参考文献等
Yasuko Saito, Takashi Endo, Daisuke Ando, Fumiaki Nakatsubo, Hiroyuki Yano, Cellulose, 25(11), 6319- 6331(2018), “Influence of drying process on reactivity of cellulose and xylan in acetylation of willow (Salix schwerinii E. L. Wolf) kraft pulp monitored by HSQC-NMR spectroscopy”.
説明図
溶媒不溶サンプルのHSQC法NMRによる高分解能二次元NMR解析

追記事項

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