当研究グループで得られた知見や開発した技術の例をご紹介します。
マレイン酸を用いたシングルセルロースナノファイバー製造技術
- 内容
- ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)には様々に種類があります。その中でも、幅3nm程度の超微細なシングルセルロースナノファイバーの製造方法としては,東京大学の磯貝教授らによるTEMPO酸化法がよく知られています。我々は,木質等からの直接的なリグノセルロースナノファイバー製造技術開発の一環として,木粉やパルプ等をマレイン酸で処理した後,これまでと同様の機械的湿式処理により,幅3nmのシングルナノセルロースが製造できることを見いだしました。この方法のポイントとしては,マレイン酸と混合して加熱する際に,原理の木粉やパルプが乾燥しすぎていると,マレイン酸のエステル化反応の効率が低下します。10%程度以上の水分量を持たせた原料を用いることで,エステル化反応の効率が向上し,シングルナノセルロースが効率的に得られます。
一般的に,エステル化反応では,水分子が生成するため,無水状態や乾燥状態で反応するのが教科書的な方法ですが,セルロースは乾燥すると水酸基が水素結合等することで,活性が低下し,エステル化反応も進行しにくくなることが,古くから知られています。 - 参考文献等
- Shinichiro Iwamoto, Takashi Endo, ACS Macro letters, 4(1), 80-83 (2015),
"3nm Thick Lignocellulose Nanofibers Obtained from Esterified Wood
with Maleic Anhydride"
- 説明図
追記事項
セルロース材料グループ