当研究グループで得られた知見や開発した技術の例をご紹介します。
樹種によるリグノセルロースナノファイバー製造効率の違い
- 内容
- 当グループでは,「文部科学省・グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)事業・植物CO2資源化研究拠点ネットワーク (NC-CARP)プロジェクト」において,単純な機械的解繊処理の場合の,ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)の製造効率が樹種によりどのように異なるかを評価しました。機械処理は,湿式ボールミル粉砕により行いました。得られるナノセルロースは、リグニンやヘミセルロースを含有したリグノセルロースナノファイバー(LCNF)です。
(説明図1)その結果,得られた生成物の比表面積は,樹種によりことなり,広葉樹と比較して,針葉樹はナノファイバー製造効率が高いことが分かりました。ただ,この場合の比表面積は大き場合でも110m2/gであるため,全てが幅20nm以下になっているわけではありません。
(説明図2)ユーカリのような広葉樹は,単純な湿式粉砕のみでは,ナノ解繊しにくい樹種ですが,アルカリ添加条件で水熱処理(オートクレーブ処理)を行うと,劇的にナノ解繊が進行しました。しかし,針葉樹であるヒノキでは,その効果はわずかでした。
以上のように,簡単な前処理と湿式機械的処理を組み合わせることで,リグノセルロースナノファイバーの製造効率は大きく変化します。理由としては,木質成分の部分的分解による木材組織の脆弱化の効果が大きいと考えられます。 - 参考文献等
- 植物CO2資源化研究拠点ネットワーク(外部リンク)
- 説明図 1
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- 説明図2
追記事項
セルロース材料グループ