当研究グループで得られた知見や開発した技術の例をご紹介します。
ナノセルロースによる高発色性材料
- 内容
- 色素には有機系と無機系があります。さらに,その特性から,染料と顔料とに分けることができます。有機系において,染料は,水や有機溶剤に分子レベルで溶解して,染色等に使われます。一方,顔料は,水や有機溶媒には,ほとんど溶解することができません。顔料は,安定で耐久性が高いモノが多いですが,凝集性が高いため,様々な分散剤(凝集抑制剤)が添加されています。顔料が凝集すると,色相が変化したり,くすんだりしてしまいます。
ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)は,その強度が注目されていますが,大きな比表面積を持っており,様々な物質と相互作用します。我々の研究グループでは,山陽色素(株)様との共同研究において、顔料でウレタン材料を着色する際に,ナノセルロースを0.1wt%程度の少量を添加することで,セルロース-顔料間の特異な分子間相互作用により,顔料粒子同士の凝集を抑制して,発色性が向上することを見出しました。この成果は、山陽色素(株)様の高い分散技術によって達成されたものです。その成果は、連名で論文発表することができました。
山陽色素(株)様ホームページ(外部リンク) - 参考文献等
- Yasuko Saito, Shinichiro Iwamoto, Naoya Hontama, Yuki Tanaka, Takashi Endo,
Cellulose, 27, 3153–3165(2020), “Dispersion of quinacridone pigments using
cellulose nanofibers promoted by CH–π interactions and hydrogen bonds”.
※山陽色素(株):Naoya Hontama, Yuki Tanaka - 説明図
追記事項
セルロース材料グループ