AIST 表層型メタンハイドレートの研究開発
AIST 表層型メタンハイドレートの研究開発



表層型メタンハイドレートの研究開発
2021年度 研究成果報告会 Q&A
2021 Shallow Methane Hydrate Forum Q&A
表層型メタンハイドレートの研究開発
2021年度 研究成果報告会 Q&A
2021 Shallow Methane Hydrate Forum Q&A

2022/01/14

研究成果報告会のQ&A


2021年12月3日に開催された表層型MH研究成果報告会において、生産技術の開発に係るセッションでは、講演に関して提出された質問の内、 限られた質問しか回答出来なかった事もあり、HP上にて、追加で回答を行う事にしました。

研究成果報告会でのご講演内容(講演で発表したデータを含む)に係る質問に関してのみ回答いたしますので、ご参照いただければ幸いです。 どうぞ宜しくお願い申し上げます。

【質問】

【回答】

【Q①】ガスハイドレートの船上分解方法において、ハイドレートが水上に浮いてくることを想定 しているが、堆積物を含むハイドレートは浮かばないのではないか?またメタンだけで無く高次炭化水素が多く含まれ ている場合を想定しているか?

現状の船上分離方式では、揚収後のMHがタンク水面に浮いてくることを前提に設計しております。 一方で、堆積物を含むMHは浮かばないことも想定されることから、揚収時のメタンハイドレート塊の挙動については、 今後も検討を進めるとともに、現在実施中の分離関連要素技術開発において、タンク内で沈んだままのMHにも対応で きる分解技術についても検討中です。なお、揚収物中に、MHが分解したメタン以外の気体(高次炭化水素)が含まれ ていることを想定しておりませんので、今後の検討課題となります。

【Q②】船上のタンクでMHを分解させるとなっていますが、船上に上がっているときにはすでに分解 しているのではないでしょうか?

掘削されたMHは、船上に揚収されるまでにライザー管内で1~2割程度が分解しますが、その大部分 はMHのまま揚収されると考えています。なお、ライザー管内でのMHの分解量は、揚収シミュレーターにより推算すること が可能です。

【Q③】掘削の模擬テストですが、泥水とセメントを混ぜた試料はそもそも天然の海底地盤と同じな のでしょうか?

掘削試験用の模擬地盤は、海底地盤の試料と同じ成分ではありませんが、産業技術総合研究所より 報告されております日本海上越沖で採取された圧力コアのノジュール状メタンハイドレート含有泥(海底下12m)と 同程度の強度となるようにしております。詳細は、下記リンクをご参照願います。
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20191128/pr20191128.html

【Q④】メタンハイドレートは、海底面から100mまでの深度に胚胎しているといわれているが、 大口径ビットで100mの深度まで掘削する場合、ライザーパイプを少なくとも5本程度は継ぎ足して行く必要がある。 この場合、継ぎ足す毎にガスリフトガス圧力を大気圧まで払った上で、パイプを継ぎ足す必要があると考えられる。 この場合、そのたびにガスリフトを最初からおこなうということになるのでしょうか?

ご理解のとおりです。仮に、直径 300m、高さ 100mの円柱形状のMH貯留層を想定した場合、 大口径ドリルビットを用いて約3年かけてその貯留層を掘削することになります。同じ長さのライザー管を用いて 約7カ月間かけて掘削を行い、その後、ライザー管を継ぎ足すことになります。その際には、一旦揚収を停止して、 ガスリフトを最初から実施することになります。

【Q⑤】船上でメタンハイドレートと分離した泥水を海底面に埋め戻すことは、鉱山保安法 では許されていないと思いますが、この点は法律的に解決されていますか?

本件に関しては、本プロジェクトにて別途、外部有識者による検討、整理を進めているとこ ろになります。

【Q⑥】海底面から100mまでの深度まで掘削したときに、船にブラックアウトなどが発生し たときには、海底面上に位置する緊急離脱装置でパイプを切り離してロケーションを離脱する必要があるが、 この掘削装置には緊急離脱装置は備えられていますか?

あらゆる緊急事態を想定して、掘削装置を切り離し緊急避難するための緊急離脱装置の装備を検討しています。

【Q⑦】船上分離方式について、船上でガス化されたメタンを陸上に送るということですが、 このガスはほかの気体が混ざり込むことはないのでしょうか?

例えば、仮にMHにH2Sが含まれた場合には、船上でガス化された混合ガス (メタン+H2S)から、船上のH2S処理設備でH2Sを除去後、メタンガスのみ送ることを想定しています。

【Q⑧】ベントナイトを使った分離実験で、含水率によって分解条件が異なるのは、 「堆積物中の塩分の不均一性」で説明できるのでしょうか?

また、メタンだけでは無くH2Sなどが混ざっている場合の分離挙動はどのようになるのでしょうか?

ベントナイトを使用した低含水比の実験結果には、ベントナイトの強い吸水性のために 間隙水が拘束される影響が表れたものと考えられます。塩分の不均一が問題となるのは、さらに含水比が増大して ベントナイトの吸水性による影響を受けない自由水が含まれる場合と考えられます。また、硫化水素などが混ざって いる場合には、分解が進むにつれてガス組成が変化することにも注意が必要と考えられます。

【Q⑨】表層型メタンハイドレートは商業化可能か?

国の目標としている、2027年度末までに民間主導の商業化プロジェクトの開始を目指しており、 その目標を達成できるように研究開発を進めているところです。

【Q⑩】共通基盤技術「膜構造物の利活用」は必要か?

要素技術開発として検討を進めている掘削方式では、海底面を直接掘削する事になります。 その場合には海底環境下への影響が懸念されます。そこで影響低減のための技術の一つとして、「膜」の適用 可能性を検討しています。具体的には、膜に接触する・補足される際の粒状体の挙動や膜材料の耐久性評価のための 室内実験装置の設計製作や、海底への設置・施工検討のためのモデル化や大型水槽実験によるデータ取得などを予定しています。


お問い合わせ

表層型メタンハイドレート事務局: M-smh.office-ml@aist.go.jpへお問い合わせください※メーラーが起動します。