表層土壌評価基本図とは

表層土壌評価基本図

Geochemical and Risk Assessment Map
of Subsurface Soils

表層土壌は農業、生活環境に与える影響が大きく、我々が屋外活動で飛散した土壌粒子を直接摂取したり、また、土壌から間隙水に溶け出した成分が農作物に移行したり、地下水に移行したり、間接的に土壌中成分を摂取することで有害成分が体内に取込まれる(暴露される)可能性もあります。このような関連情報を整備し、発生しうるリスクを定量的に評価することは、土地の有効利用や産業用地の立地リスク診断、自然起源と人為起源汚染の判別、また自治体などにおけるリスクコミュニケーションなどに幅広く利活用することが期待されます。

具体的には、先ず、土壌汚染対策法に準ずる手法で表層土壌を採取し、鉛やヒ素及びカドミウムなどに代表される重金属類の含有量と溶出量を分析し、調査地域における金属類のバックグランドレベルの空間分布をデータベースとして整備します。そして、これら基盤情報をもとに、重金属類の人への健康リスクを定量的に評価します。主な曝露経路としては、大気中に飛散した土壌の経気摂取および経口摂取、間隙水を介して生態濃縮した農作物の摂取、地下水の摂取および揮発性物質の皮膚からの吸収などを想定し、生活様式因子も考慮して算出します。

リスクの度合いはWHOなどが規定する一日に人体が摂取してもよいという一日許容摂取量(Acceptable Daily Intake、ADI)、または参照用量(Reference Dose、RfD)との比較によって評価します。下図に四国地域の表層土壌におけるクロムの含有量(上)、溶出量(中)およびリスクマップ(下)を例として示します。

リスク評価の例

Example

四国地方における表層土壌中のクロムの含有量、溶出量及びリスク評価の例