フェムトリアクターの原理
フェムトリアクターは、エレクトロスプレー法によって、液体を直径数μm(体積フェムトリットルレベル)の帯電した極微小液滴に微細化し、帯電した極微小液滴の動きを電場で制御することにより、極微小体積の反応場を形成します。
液相の反応場の体積を極限まで小さくすることにより、@〜Bの特徴が得られ、バルクの溶液反応では達成できない選択的な反応制御が可能になります。
@瞬時に均一な混合状態を形成できる。
A液滴の温度制御を迅速にできる。
B極微小体積の反応場から迅速に生成物を分離できる。
1.エレクトロスプレーとフェムトリアクターの基本原理:
気中でのエレクトロスプレーを適用したフェムトリアクターの基本原理を説明します。
エレクトロスプレー: ノズルと対向電極間に高電場を形成して、液体試料をノズルから高電場中に導入することによって、液体試料は帯電した直径1〜10マイクロメートル程度(体積0.5〜500フェムトリットル)の液滴に断片化されます。左図では正に帯電した液滴が負極に向かって飛行します。 |
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フェムトリアクター: 正・負の電位のノズルを対向させると、ノズル間に形成されたラグビーボール状の電場の中で、正・負に帯電した液滴間の静電力による衝突・混合が起こり、フェムトリットルレベルの反応場で二液混合が可能になります。 |
2.液中エレクトロスプレーによる進化:
液中エレクトロスプレーを適用したフェムトリアクターにより、反応(回収)効率・制御性・安全性が劇的に向上します。
映像では、ヘキサン相に設置した対向ノズルから水をエレクトロスプレーし、正・負に帯電した極微小水滴が電場中央で衝突・混合しています。撮影用に容器背面の楕円形部分から光を当てています。