ラボ紹介

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次世代治療・診断技術研究ラボ長挨拶

丸山ラボ長 写真
ラボ長 丸山 修

次世代治療・診断技術研究ラボ(融合ラボ)は、社会課題の解決を目指す融合領域プロジェクトの1つとして産総研第5期からスタートし、3年目を迎えました。本融合ラボが立ち向かう社会課題は少子高齢化です。少子高齢化が引き起こす問題の一例として、世界に先駆けて超高齢社会に突入する本邦において、働き手の減少による経済力の低下、地域間の医療格差の拡大などが懸念されます。その社会課題解決の糸口は「生涯現役社会の実現」であり、そのためには高齢者の健康長寿延伸がキーであると考えています。健康長寿延伸には、疾病をごく初期の段階で発見でき、また罹患したとしてもQOLを低下させることなく社会復帰を可能とする信頼性の高い医療を、日本中どこにいても享受できる、どこでも医療アクセスである「ユニバーサルメディカルアクセス」が極めて重要で、このユニバーサルメディカルアクセスの実現に向けた基盤研究に取り組んでいます。また、少子化対策として、男性不妊症、新生児の採尿モニタリングおよび早期発達障害診断に関する研究にも取り組んでいます。

本融合ラボは、生命工学領域、情報・人間工学領域、エレクトロニクス・製造領域、材料・化学領域、エネルギー・環境領域および計量標準総合センターの6領域をまたぐバーチャルラボです。バーチャルラボは、研究部門や研究センターのように、リアルな研究ユニットとしてではなく、領域を超えたチーム員構成によって、上記の社会課題解決のための研究テーマをプロジェクトとして共有し、いち早く社会実装することを目指しています。しかし、その研究テーマは、非常に多様であり、もはやこれまでのように、単一の学問領域で実効性のある答えを導くことは困難になってきました。そのためにも、特定の領域の研究テーマにこだわらず、幅広い研究専門性をもつチーム員が集結することで、社会課題はより速く社会実装できるものと期待できます。

連携体制としては、所内のあらゆる研究分野の研究者との融合を基本として、医薬品開発および医療機器を開発している企業との連携を中心に構築していきます。併せて経済産業省医療・福祉機器産業室(医福室)をはじめ、大学、病院、公的研究機関の研究者の皆さんとも積極的に連携していきます。本融合ラボは、研究分野の専門性を制限することなく、幅広い研究者の参画を積極的に進め、つねに新たな課題解決手法を模索し、ユニバーサルメディカルアクセス実現に向けて邁進していきます。

2022年 10月

融合ラボ概要

本融合ラボでは、社会課題の一つである少子高齢化の解決のために、誰もが いつでも、どこでも、どんな状況でも不安無く質の高い医療・介護にアクセスできるどこでも医療システムであるユニバーサルメディカルアクセスによる生涯現役社会の実現を目指し、わが国の死因の上位を占める疾病、治療法が確立されていない指定難病、また今後も懸念される未知のウイルス感染への対応に着目しつつ、基盤技術推進研究チーム、循環器系疾患治療・診断技術推進研究チーム、がん・ウイルス診断技術推進研究チームの3つの研究チームを設置し、各チームに以下の具体的なテーマを設定しております。

  1. 生体適合性に優れた高機能な医用材料や治療デバイスの開発
  2. 医療現場のアンメットニーズに応える次世代治療・診断機器の開発
  3. どこでも医療アクセス実現に資する簡便・迅速・高精度な体外診断デバイスの開発

これらを3本の柱とし、医用材料を活用した治療・診断に関わる技術開発や、医療介入から回復期リハビリテーションまで活動的な心身状態を維持向上させる技術開発を産総研の総力を挙げておこないます。

第5期の目標

  • 「生涯現役社会の実現」を支える新しい医療システムを構築のために、わが国の死因の上位を占める疾病、治療法が確立されていない難病、また今後も懸念される未知のウイルス感染への対応に着目し具体的なテーマを設定。
  • 3つの研究実施チームが相互連携して各課題へアプローチ。
  • 各課題の研究成果を融合企画チームが、医療機関・医療関連企業に橋渡し。
  • 国民のQOL向上に向けて、ユニバーサルメディカルアクセス実現に資する治療・診断の基盤技術創出に着手。
第5期の目標ロードマップ

研究実施体制

ユニバーサルメディカルアクセス実現を目指し、ラボ長のトップダウンミッションにより、6領域にまたがるチーム員が3つの研究チームと1つの融合企画チームに所属し、研究が実施されています。

研究実施体制組織図