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糖鎖で見分けるiPS細胞の分化のばらつき

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)細胞分子工学研究部門の小高陽樹主任研究員と舘野浩章研究グループ付は、iPS細胞由来神経細胞集団に混入する目的外細胞を標識できる糖鎖マーカーの同定に成功しました。

 再生医療に用いるiPS細胞由来細胞には、目的細胞以外の「目的外細胞」が含まれることが多く、治療効果や安全性に影響を及ぼす可能性があるため、その識別と除去が不可欠です。目的外細胞の除去には、細胞表面に存在するタンパク質や糖鎖など、細胞の種類や状態を識別できるマーカーが有用です。

 今回、研究グループは産総研が開発した、1細胞ごとに糖鎖と遺伝子の発現情報を同時に解析できる「単一細胞糖鎖・RNAシーケンス法(scGR-seq法)」を用いて神経細胞集団を詳細に解析し、目的外細胞の種類とそれを標識可能な糖鎖マーカーを同定することに成功しました。本成果は、iPS細胞由来細胞の品質管理や分離技術の高度化を通じて、再生医療の安全性・有効性向上への貢献が期待されます。

 本研究成果は、2025年9月5日に「Stem Cell Reports」に掲載されました。

 ※詳細は図下のプレスリリースをご覧ください。

糖鎖で見分けるiPS細胞の分化のばらつき

プレスリリース

投稿論文

  • 掲載誌:Stem Cell Reports
  • 論文タイトル:Single-cell glycome and transcriptome profiling uncovers the glycan signature of each cell subpopulation of human iPSC-derived neurons
  • 著者:Haruki Odaka, Hiroaki Tateno

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