血管内治療の課題を克服する新規抗血栓性コーティング
寺村裕治上級主任研究員らの研究グループは、 一般社団法人ジャパン・メディカル・スタートアップ・インキュベーション・プログラム(以下「JMPR」)、N.B. Medical株式会社(以下「N.B. Medical」) と共同で、抗血栓性と細胞接着性を両立する脳動脈瘤治療用ステント用のコーティング技術を開発しました。
さまざまな候補分子において検証を行い、その中で3-アミノプロピルトリエトキシシランをステント表面にコーティングすることで、従来の抗血栓性ポリマーと同等以上の抗血栓性を発揮しつつ、細胞の接着性の向上が認められました。また、ブタによる大動物実験によってコーティングの安全性も確認しました。この抗血栓性により、ステント治療で課題とされてきた血栓性合併症のリスクを低減し、さらに細胞接着性が向上したことで、ステントの血管内皮化を促進し、血管への取り込みが早まる可能性を示しました。治療期間が短縮化し、抗血小板剤の減薬が可能となることで患者さんの負担が軽減され、医療費の削減にも貢献できます。
なお、この技術の詳細は、2024年7月10日に「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
※詳細は図下のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリース
共同研究機関
- 一般社団法人ジャパン・メディカル・スタートアップ・インキュベーション・プログラム
- N.B. Medical株式会社
投稿論文
- 論文タイトル:Stent coating containing a charged silane coupling agent that regulates protein adsorption to confer antithrombotic and cell-adhesion properties
- 著者:Naoki Inuzuka, Yasuhiro Shobayashi, Satoshi Tateshima, Yuya Sato, Yoshio Ohba, Kristina N. Ekdahl, Bo Nilsson, and Yuji Teramura
- 雑誌:Scientific Reports, 10th July, 2024