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細胞骨格に結合する転写関連因子を生細胞で検出する技術を開発

 山岸彩奈研究員、中村史連携研究室付らの研究グループは、 原子間力顕微鏡と抗体修飾ナノニードルを用いて、生きた細胞内で中間径フィラメントに結合する転写関連因子を力学的に検出することに成功しました。原子間力顕微鏡の探針を加工して作製した直径200 nmのナノニードルは、その挿入による細胞へのダメージは極めて小さく、精密な位置制御が可能であり、かつ力学的な応答が得られます。細胞骨格のように細胞体と結合している構造と相互作用するタンパク質が、細胞に挿入したナノニードル表面の抗体と相互作用することで、ニードル抜去時に抗原-抗体結合破断力が生じます。この結合破断力を測定することで、転写関連タンパク質PHB2が上皮間葉転換の指標として用いられている中間径フィラメントのビメンチンに捕縛されていることを明らかにしました。
 近年中間径フィラメントは転写関連タンパク質を捕縛し、核移行を妨げることで遺伝子発現を制御することが示唆されており、無標識でタンパク質間相互作用を検出できる本技術はその解明に資するものと考えています。

細胞に挿入したナノニードル表面の抗体と、中間径フィラメントに捕縛された転写関連因子の結合が破断するときの力を原子間力顕微鏡で検出

原子間力顕微鏡で検出

投稿論文

  • 論文タイトル:Mechanical detection of interactions between proteins related to intermediate filament and transcriptional regulation in living cells
  • 著 者:Ayana Yamagishi, Mei Mizusawa, Koki Uchida, Masumi Iijima, Shun'ichi Kuroda, Kyoko Fukazawa, Kazuhiko Ishihara, Chikashi Nakamura
  • 雑誌:Biosensors and Bioelectronics
  • DOI:10.1016/j.bios.2022.114603

共同研究機関

  • 東京農工大学、東京大学、大阪大学、東京農業大学

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