ヒト自律神経分化を制御する転写因子活性の解明
髙山祐三主任研究員、赤木祐香研究員、木田泰之研究グループ長らの研究グループは、ヒト自律神経分化を制御する分子メカニズムの一端を解明した。自律神経は生体内において内臓の機能制御や恒常性維持などの重要な働きを行っており、ヒト自律神経を生体外で誘導する技術開発は創薬や再生医療への貢献が期待できる。これまで、当研究グループではヒトiPS細胞からの自律神経誘導プロトコルの開発を行ってきたが (Takayama et al., Sci. Rep., 2020)、その詳細な分子メカニズムは不明であった。
そこで本研究ではヒト自律神経の分化過程における網羅的mRNAデータのバイオインフォマティクス解析を行った。その結果、ヒト自律神経分化に関与すると考えられる、特徴的な遺伝子クラスターと転写因子活性を同定した。この成果は、ヒト自律神経分化におけるバイオマーカー同定、及びヒト自律神経の高品質・安定的な作製に繋がると考えている。
ヒトiPS細胞から自律神経へと至る網羅的遺伝子発現変化をバイオインフォマティクスにより解析。遺伝子制御ネットワークにおいて特徴的な遺伝子クラスターと転写因子活性を同定した。
投稿論文
- 論文タイトル：Deciphering the Molecular Mechanisms of Autonomic Nervous System Neuron Induction through Integrative Bioinformatics Analysis
- 著者：Yuzo Takayama, Yuka Akagi and Yasuyuki S. Kida.
- 雑誌：International Journal of Molecular Sciences