複数の化学分析データに対する機械学習によるリサイクル樹脂の判別

事例No.

AC-0046

概要

我々は、分光法、質量分析、熱分析等によって計測した複数のマルチデータを統合し、データインフォマティクスによって解析することで、再生樹脂原料間の違いを詳細に解明する技術を開発している。本研究では,由来の異なる様々な市場回収ポリプロピレン再生樹脂の分類分けを検討した。

お困りごと・要望

廃プラスチックを再生樹脂原料として利用したいが、品質の担保が難しい。廃プラスチックや再生樹脂の組成や化学構造を分析し、製品の品質を保証する評価技術を開発したい。

事例提供機関

サンプル

市場回収品由来のリサイクルPP樹脂

分析方法

分析は、熱重量測定、熱分解GC-MS法、赤外分光法を行った。分類に用いた機械学習は主成分分析で、熱分解GC-MSで測定したクロマトグラム、赤外分光法によって得た赤外吸収スペクトルの2つを結合させたデータに対して行った。

分析結果

熱分解GC-MSと赤外分光法によって得られたデータに対して主成分分析を行った結果、サンプルが3つのグループに分類分けされた。熱重量測定から推算したPPの純度を用いて色分けしたところ、3つのグループはPPの純度に応じて、分類されていることがわかった。
また,ローディングについては第一主成分では熱分解GC-MS、第二主成分では赤外吸収スペクトルの寄与が大きかった。第一主成分には添加剤やPP以外のポリマーの熱分解特性が反映されていること、第二主成分では純度90%以下のサンプルではポリエチレン及び添加物の含有量が相対的に大きいことがそれぞれ示唆された。

関連装置

示差熱熱重量分析装置 (株)リガクTG8120
熱分解GC/MS 熱分解炉:EGA/PY-3030D(フロンティア・ラボ(株)) GC:GC7890B(アジレント・テクノロジー(株)) TOF-MS:JMS-T200GC(日本電子(株))
フーリエ変換赤外分光器 日本分光(株) FT/IR-4100

コメント

示差熱・熱重量測定(TG-DTA)、熱分解GC-MS、赤外分光(FT-IR)、主成分分析を、伊藤祥太郎(産総研中国センター)、花岡寿明(産総研中国センター)、藤本真司(産総研中国センター)、新澤英之(産総研つくばセンター(中央第五))がそれぞれ担当しました。
個別の分析・解析技術に関するご相談にも対応できます。

適用可能な材料

樹脂全般

分析事例討論会

R5年度 分析事例討論会