パイ電子や水素原子のダイナミクスにより、切り替え可能な電気分極を備えた誘電体結晶は、強力な外部電場の下で、多種多様な結晶相の出現や競合、逐次スイッチング、複数の分極反転メカニズムの競合など、学術的に興味深いプラットフォームであるだけでなく、
高効率で効率的な電気エネルギーの貯蔵/放電や大きな電気歪み効果、非線形光学特性など、幅広い機能性を発揮できる重要な材料です。この十年余りの研究で、ケンブリッジ結晶構造データベースから大規模探索などを通じて数多くの分子結晶を発見し、
その分極、電気歪み、第2高調波発生等の特性が、結晶構造や物性パラメータ、結晶相の相対安定性などのシミュレーションから首尾よく説明できることも明らかにしました。有機誘電体結晶に関するこれらの成果とトピックスを実験科学、
計算科学、データ科学的視点から体系的に整理し、今後の効果的な機能予測と戦略的な材料設計に役立てるべく、Crystals誌の特集号「Polymorphism and Phase Transitions in Crystal Materials」にまとめました。