イベントレポート

触媒化学研究部門―食・触コンソーシアム合同講演会

講演会名 触媒化学研究部門―食・触コンソーシアム合同講演会
開催日 2026.05.26
開催場所 産総研第5事業所 5-2棟 第4会議室(5-2-6603室)
参加人数 会場 20名 WEB 18名
概要

◆細胞の熱をはかる・あやつるケミカルバイオロジー

金沢大学ナノ生命科学研究所 新井敏  教授

本講演では、生命機能の重要な指標である「温度(熱)」に着目し、サブセルラーレベルにおける細胞温度の計測・操作技術に関する最先端の研究が紹介された。具体的には、低分子色素および蛍光タンパク質を用いた細胞内小器官の温度計測技術や、光熱変換色素を利用した細胞機能制御について紹介された。蛍光寿命変化に着目したイメージング法の設計・開発は独創的な技術成果であり、新たな視点から生命現象を観測可能とすることで、次世代のケミカルバイオロジー・生命科学・医療分野の発展を予期させる講演となった。

◆光応答性分子を用いるがん幹細胞の可視化と細胞内薬剤送達

京都大学大学院化学理工学専攻 三木康嗣   准教授

本講演では、光応答性分子を基盤としたがん幹細胞の可視化および細胞内薬剤送達技術に関する研究成果が紹介された。遠隔位の構造変化がトリガーするアセタール・アミナール環化・開環現象に基づく、新概念turn-on型分子プローブの設計と、がん幹細胞のイメージング手法については、有機合成技術の強みが余すことなく発揮される特徴的な成果であった。また、光照射により誘起される分子運動で細胞膜一時的に乱すことにより、細胞内へ分子導入する革新的手法についても紹介された。医学系との連携により、これらの技術を基盤としたセラノスティクスへの展開についても議論され、光技術と分子創製を中核とした新たな視点からの創薬・診断融合について発展を予期させる講演となった。