ABOUT

ご挨拶

触媒化学研究部門は2025年4月に発足した研究部門として、触媒化学を基盤に、持続可能な社会の実現と我が国の産業競争力強化に資する研究開発を推進しています。化学は、医薬品、電子材料、エネルギー、環境、食料、資源循環など、私たちの社会と産業を支える幅広い分野に深く関わる基盤技術です。とりわけ触媒化学は、物質変換を高効率かつ選択的に進め、省エネルギー化、省資源化、廃棄物削減を可能にする重要な科学技術であると考えています。

近年、気候変動の深刻化、資源・エネルギー制約、サプライチェーンの不安定化、地政学的リスクの高まりなど、世界は大きな転換期を迎えています。こうした状況において、化学には単に新しい物質を生み出すだけでなく、限られた資源を最大限に活用し、環境負荷を低減しながら、人々の暮らしと産業活動を持続的に支える役割が求められています。カーボンニュートラル、グリーントランスフォーメーション、サーキュラーエコノミー、経済安全保障といった課題に対し、触媒化学が果たすべき役割はますます大きくなっています。

当部門では、「新しい触媒化学技術開発とその社会実装を通じて、未来を創造する」を基本理念に掲げ、革新的触媒の開発と、それを核とする機能性化学品製造プロセスの革新に取り組んでいます。具体的には、「レドックス反応制御」、「環境・生体調和化学」、「フロー化学」、「デジタル駆動化学」の4つの研究グループを有機的に連携させ、機能性化学品の高効率合成、未利用資源・バイオ由来資源の活用、化学とバイオの融合、連続精密生産、AI・データ科学を活用した反応・触媒・プロセス設計などを推進しています。

私たちが目指すのは、基礎学理の深化と社会実装を切り離すことなく、反応の本質的理解に基づいた新しい触媒技術を、産業上の実課題の解決につなげていくことです。そのために、産学官連携のハブとして、企業、大学、公的研究機関との共創を一層強化し、研究成果を社会に届く形へと育ててまいります。また、若手研究者を含む多様な人材が、自由闊達に議論し、異分野との融合に挑戦できる研究環境を大切にしていきます。

触媒化学研究部門は、化学の力を通じて、持続可能で強靱な社会の実現と、日本の化学産業の発展に貢献してまいります。今後とも、皆様のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2026年10月1日
触媒化学研究部門
研究部門長 甲村 長利