会長あいさつ
- 会長 蛯名 武雄
産業技術総合研究所で粘土を主成分として成形されたシートを本格的に研究をはじめたのは2003年になります。まず東北地方で豊富に産するベントナイト粘土を用いた膜が、従来材料が使用できない高温で水素をシールできることを発見しました。それ以来、原料、製膜法、加工法、応用に関して多くの検討が行われてきました。今では、多くの研究機関・企業の方々によって精力的に開発が行われています。2007年の高温用ガスケットの普及により日本からアスベスト含有製品の全廃に寄与して以降、ガスバリア材料だけでなく数々の実用化事例を生み出してきました。
当初粘土膜の本格的な実用化のために結集された産総研コンソーシアムClayteamは、サステナブル社会の実現に資するものづくりという、より大きな命題に向かって進んでいます。私たちの提言する「めぐみものづくり」は「サステナブル社会の実現を志向し、素材の組成・機能・形状を生かしたものづくり」であり、有機・無機、天然・合成、混合物・純物質を対象とし、日本の得意とするすり合わせ型連携を基に、高付加価値製品を生み出し続けます。また、地域の持続的なものづくりの取り組みとして評価されています。
Clayteamは高付加価値製品を生み出す「統合開発」と呼ばれる方法論を持っています。情報共有、サンプル提供、可能性調査、技術支援、製品開発、複数機関での連携コーディネート等の活動で、最新の科学を取り入れ、多くの分野・業種のものづくりの英知の結集により、製品開発を加速・実現します。
私たちはそれぞれの地域に産する資源を有効利用する知恵と方法を得ることで、限られた地域に遍在する資源を争う傾向を少しでも軽減できると信じます。争いの起こりにくい地球を具現するため、私たちができる具体的な施策として「Megumi Monozukuri」を推進します。この考え方はSDGsの精神とも整合します。
Clayteamは研究者・企業の皆様の入会を随時承っていますので、ご興味のある方は事務局にお問い合わせ下さい。
Clayteamは積極的に情報開示を行っています。サステナブル社会の実現に向けた新たな展開にご期待ください。
令和2年1月
Clayteam会長
蛯名 武雄