光は、エネルギーを持っています。真夏の正午の太陽光の場合、日本ではだいたい1平方メートルあたり1キロワット(1kW=1000W)のエネルギーを持っています。照射された太陽光のエネルギーのうち、何%を電力に変換できるかを、変換効率という値で表します。 この変換効率は「ソーラーシミュレーター」で発生させた疑似太陽光を用いて測定されます(図1)。この時の光の強度やスペクトル、温度などの測定条件は世界共通の測定条件として定められていて、基準状態(STC)と呼ばれます。このSTCは、おおまかには「エアマス1.5、25℃、1kW/平方メートル」という条件で表されます。変換効率は気温などの設置条件によっても変化しますが、特にこのSTCで測定された変換効率が、モジュールの絶対性能を表す指標のひとつとして用いられます。
光が当たっている時の太陽電池は、図2のような形の出力特性を示します。そのままでは、接続されている負荷の特性によって取り出せる電力が変化します。このため太陽電池は通常、外部の電力制御回路によって、取り出せる電力が最大になる条件(最適動作点)付近で利用されます(*1)。最適動作点における出力が最大出力で、STCにおける最大出力を、太陽電池に照射された光のエネルギーで割ったものが、変換効率となります。
変換効率は面積あたりの発電量に比例し、太陽電池の種類や製造法によって大きく変わります。また、同じ変換効率ならばより安価に、同じ価格ならより高い変換効率へと、時と共に技術開発も進んでいます(図3)。それぞれの太陽電池は市場ニーズに応じて棲み分けながら、性能の向上と共に市場でのシェアが変わっていくと予測されています。より高い性能と多くの市場シェアを求めて、世界での競争も激しさを増しています。
ただし、太陽電池の発電コストは変換効率だけで決まるものではありません。製造技術、量産規模、流通コスト、さらには系統連系や関連制度のコストなど、様々な要因が影響します(*2)。
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