太陽光発電設備の性能の目安には、大きくわけて2つあります。ひとつはもちろん、実環境での発電量。そしてもうひとつは、「設備容量」や「変換効率」などの世界共通の指標です(図1)。
実環境における発電量は、その地域での日照時間や、モジュール(パネル)の向き、気温、使われているパネルの種類などによって変わってきます。このため同じ設備であっても、設置条件によって発電量は変わります。しかし、事前に発電量の見当がつけられなかったら困ります。そこで製品の絶対的な性能の目安として使われているのが、「設備容量」や「変換効率」です。
設備容量とは、その設備に使われているモジュール(パネル)の公称最大出力の合計値です。パネルの公称最大出力は、ある決まった共通の測定条件における最大出力に準じて決められます(*1)。その共通の測定条件を、「基準状態(Standard Test Condition; STC)」と呼びます。またその時の出力の単位は「ワットピーク(Wp)」(*2)です。1kWp(=1000Wp)分のパネルとは、STCにおける公称最大出力が1kWのパネル、という意味です。ただしSTCは実際の使用環境とは異なりますので、実際の発電量は設備容量などを参考に、統計データなどを参照して見当を付けることになります。地域や設置条件などにもよりますが、日本の平均的な環境においては、1kWp分のパネルを用いた設備は、一般的には1年間に約1000kWh前後を発電します。年間の日照量が多い国々では、同じ設備容量でも年間の発電量が日本の約2倍に達するところもあります。
STCは、おおまかには「AM1.5、1000W/平方メートル、25℃」という測定条件で表すことができます(*3)。ここでAM(エアマス)とは太陽光のスペクトルを表す言葉で、AM1.5は日本付近の緯度の地上における平均的なスペクトルとして用いられます(図2)。これに似せたスペクトルの光を照射する装置(ソーラーシミュレータ)を用いて、太陽電池の性能を測定します(図3)。世界共通の基準であるSTCに従うことで、世界のどこでも同じ測定ができるようになっています。これは製品の輸出をする際にはとても重要なことです。当センターを含めた各国の測定機関がお互いの測定精度を常にチェックし合うことで、関連製品の性能比較や輸出入がスムーズに行えるようにしています(図4)。
パネルに照射された光のエネルギーのうち、最大何%を直流電力に変換できるかという値を「変換効率」と呼びます。この変換効率は温度などの周囲の環境によっても変化しますが、カタログ値としてはSTCにおける変換効率が使われます。これは、製品同士の絶対的な性能をある程度事前に比較したり、(統計データなどと併せて)設置面積あたりの発電量の見当をつける際に利用されます。
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