太陽光発電所は、様々な規模や場所で使えます。日本の全電力を供給するのは現実的ではありませんが、需要のピークを自然に緩和できる電源として、馬鹿にならない量を供給できます。また、設置できる場所自体は十分にあります。
日本に導入できる設備量は、潜在的に設置できる量だけで言うならば、日本の年間の電力需要量の数倍を発電できるほどの量が国内に置けます(図1)。従って太陽光発電の現実的な導入量は、面積よりも、電力需要との整合性やコストで決まるものと考えられます。太陽光発電の場合、昼間のピーク部分(ピークロード)の供給に用いるのが最も経済的と考えられます(*1)。日本のピークロードを賄うのに必要な設備量は、100~200GWp前後と考えられています(図1)。
たとえばこのうち50GWp分の設備を導入した場合、エネルギー供給面からは下記のような効果が期待できます。
・日本の年間電力需要量に対しては、約5%を供給できます。
・晴れた日なら、正午頃のピーク電力需要の最大約2~4割を供給できます。さらに他の発電所や送電網の負荷を減らし、全体的に送電損失を減らす(実質的に電力供給量を増やす)効果も期待できます。
・時間や天候によって出力が変動しますので、負荷に完全に追従することはできません。それでも火力発電の運転量を減らして、化石燃料の使用量を削減することができます(図2)。削減量は、原油換算で年間約7600万バレル、日本の原油輸入量の約5%と見積もられます(*2)。
・化石燃料の使用量削減に伴って、日本(2015年比)全体の排出量の約2.6%、事業用電力の年間排出量の約7.8%相当を削減できます。これは日本の電力自体をその分低排出化できることを意味します。
太陽光発電の発電コストは通常、設備の導入費用で大半が決まります。太陽光発電設備の導入費用は1970年頃は家一軒分(3kW)で1億円以上もしましたが、近年は100~150万円程度の価格が珍しくなくなりました(図3)。また今後、さらなる価格低減が見込まれています。
太陽光発電設備は工業製品なので、コストを下げるには技術開発と実用化のほか、生産規模を拡大して量産効果を得たり、流通量を増やして設備量あたりの流通コストを下げることが必要です。しかし一度値段が下がってしまえば、化石燃料のように値段が乱高下しない、コストが比較的安定したエネルギー源になると期待できます。
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