太陽電池は1970年代初め、家一軒分(3kWp)で何億円もする大変高価な製品で、用途も宇宙用等に限られていました。しかし半世紀以上の技術開発と普及の努力の結果、現在では桁違いに安価になってきています(図1)。
インバータ等の周辺機器の価格低減や、規模の拡大による流通・施工等の費用低減もあって、導入費用も下がりつつあります(図2)。
化石燃料と異なり、技術の向上と規模の経済でほぼ一方的にコストが下がっていくのは、太陽光発電の特徴でもあります。近年は世界の太陽光発電の平均的な発電コストが火力発電に近づいており(図3)、条件の良い国や地域では最も安い電源になる例も出現しています。
日本でも太陽光発電からの電力の買取価格が家庭用の系統電力価格に近づいておりますが、今後さらに火力発電並み、さらには蓄電池を併設しても系統電力より安くなる水準へと安くなっていくことが期待されています(図4)。
このような価格低減は放っておいても実現するわけではなく、継続的な技術開発や普及促進の努力が必要です。また関連産業を育てていくには、国際競争にも負けないようにする必要があります。競争は非常に激しく、決して甘くはありません。
しかし適切なペースで開発と普及を続ければ、十分に安くて価格も安定したエネルギーを国内で自給し、化石燃料に由来する経済的・政治的なリスクも減らせるようになると見られます。また関連産業による経済効果や、環境保護の効果等、様々な面で国全体に良い影響をもたらすことが期待できます。
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