現在多く使われている化石燃料やウランはいずれも埋蔵量に限りがあり、数十年から百年程度で枯渇すると言われています。このような使い切り型のエネルギー源を、枯渇性エネルギーと呼びます。
これに対して、太陽の光や地熱、潮汐などに由来するエネルギーは、まだ数十億年間利用できると考えられます。このようなエネルギーには、太陽光・太陽熱・水力・風力・バイオマス・地熱・海洋エネルギーなど(いわゆる自然エネルギー)が含まれます。適切に利用すれば、利用する以上の速度で自然に再生するので、将来にわたって持続的な利用が可能です(*1)。このようなエネルギー源を、再生可能エネルギー源と呼びます(図1、2)。
再生可能エネルギー源の多くは、エネルギー源として十分な性能を持ちます。さらに、下記のような利点があります。
- 持続的に利用でき、資源が枯渇しない
- 化石燃料に比べて、二酸化炭素など温室効果気体の排出量が少ない
- 環境汚染も少なくできる
- エネルギーの自給率を高め、枯渇性燃料の価格変動の影響を減らす
- 壊れても影響が小さく、修理やメンテナンスも比較的速く済む
- 小規模分散型なので、供給システム全体の信頼性を高め、災害など不測の事態にも強くできる
- 出力や設備量がこまめに調整でき、無駄を減らせる
- 政情や経済事情の悪い国や地域でも利用できる
- 設備のリサイクルや廃棄物の処理も比較的容易な場合が多い
- 新しい技術・産業や雇用を創り出す
こうした特長により、再生可能エネルギーはエネルギー安全保障に貢献し、温暖化対策の費用を削減しながら、経済の発達の機会を提供します。
再生可能エネルギー源の一部は比較的昔から実用化され、水力や地熱などが利用されてきました。しかし近年のエネルギー問題や温暖化への対策として、再生可能エネルギーを世界中で大規模に普及させなければならないと見られています(*2)。このために新技術の開発と普及が進められ、風力やバイオマス、太陽光発電などを含む再生可能エネルギーの利用量が増えています(図3)。今世紀半ばには、全世界の電力の3分の2を再生可能エネルギーで供給しなければならないとも指摘されています(図4)。これは挑戦的な目標ではありますが、実現可能と考えられています。
再生可能エネルギーは、枯渇せず、環境にも優しく、そして十分に実用的な力を持つ、世界の将来を担うエネルギー源なのです。
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(*1)…元となる太陽エネルギーや地熱エネルギーは、それぞれあと数十億年は利用可能と見られています。バイオマスの場合は、燃料を取得した後、使った以上の量を再生させることで持続的に利用できます。また地熱の場合は、利用した岩盤が一時的に冷却されますが、休ませると地球内部からの熱で回復します。
(*2)…たとえば IEA, Energy Technology Perspectives, 2008年6月。
(最終更新:2018年1月18日) |