再生可能エネルギー源の性能

実用的、持続的、そして低排出

再生可能エネルギーは、コストこそまだ高めなものが多いものの、多くはすでにエネルギー源として実用的な性能を持っています。さらに、温暖化ガスの排出が少なくリサイクルも比較的容易なものが多いなど、持続的でもあります。

エネルギー源の性能の指標に、EPT(エネルギーペイバックタイム)とEPR(エネルギー収支比)と呼ばれるものがあります。これは発電設備の製造などに要したエネルギーに対して、どれだけたくさんのエネルギーを得られるか(発電によって、どれだけのエネルギー消費を回避できたか)を示すものです。

枯渇性燃料の場合、同じ燃料でも運転(発電)用の燃料は無視して計算される例が殆どです。これと同じ基準でみても、現在の再生可能エネルギー源には、すでに化石燃料以上の性能を有するものがたくさんあります(図1)。 昼間しか発電しない太陽光発電でも(*1)、すでにその性能は化石燃料の火力発電を超えつつあります

さらに、再生可能エネルギーはその源が枯渇しません。運転用の燃料まで考慮すると、枯渇性エネルギーに比べて遙かに優れた性能を有していると言えます(*2)。


このような再生可能エネルギー源の多くは、化石燃料の火力発電に比べ、温暖化ガスの排出量も桁違いに少なくできます(図3)。たとえば太陽光発電の場合、現在すでに広く普及した技術で31~48g-CO2/kWh、最新技術ですと17~31g-CO2/kWhと計算されます。これは化石燃料による火力発電(519~975g-CO2/kWh)のわずか数%です。しかもその排出量の多くは製造時に使うエネルギー(電力など)に由来しますので、製造時に利用するエネルギー自体が低排出になれば、排出量はさらに減ります。

さらに再生可能エネルギーの多くは、設備も比較的容易にリサイクルできます。再利用の度に処理が難しくなったり、放射性廃棄物を出したりすることもありません。このため、設備に用いる資源まで含めて持続的に利用可能な利点があります。また運転用のエネルギーが国内で自給できるため、化石燃料の価格変動や国際情勢の変化によるリスクを緩和するなど、エネルギー安全保障上の様々な利益が期待できます。

このようにEPTやEPRなどの指標で見て、再生可能エネルギーはエネルギー源として十分に実用的です。さらに持続的でもある点において、枯渇性燃料よりもむしろ優れています。国際エネルギー機関(IEA)の最新の報告書(*3)などでも、再生可能エネルギーの大量普及が必須とされ、各国で精力的な普及の努力が始まっています。最終的には現在よりも桁違いに多い量が普及すると考えられています。


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(*1)…EPTやEPRは、想定している稼働率にも左右されます。太陽光発電などのピークロード電源は、最初から稼働率が低い前提で計算されています。原子力などのベースロード(=稼働率が高い前提で計算されている)電源をピークロード電源として用いた場合、稼働率の低下に伴ってEPTやEPRが悪化します。

(*2)…もちろん再生可能エネルギーでも、源である地球や太陽全体まで含めて考えれば、EPTが定義不能、EPRが1未満となります。しかしそのような計算で太陽や地熱の残り寿命(数十億年)を心配するぐらいならば、人類の未来を心配する方が合理的だと言えるでしょう。

(*3)…IEA, Energy Technology Perspectives, 2008年6月

(最終更新:2008年11月6日)

再生可能エネルギーのEPT

↑図1 各種エネルギー源のエネルギーペイバックタイム(EPT)の比較(クリックで拡大します)

再生可能エネルギーのエネルギー収支

↑図2各種エネルギー源のエネルギー収支比(EPR)の比較(クリックで拡大します)

再生可能エネルギーの排出量

↑図3 各種エネルギー源の温暖化ガス排出量の比較(クリックで拡大します)

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出典:
下記の文献を参考にしています。寿命は30年に揃えています(風力は設計寿命の20年)。EPTやEPRは極力、ライフサイクル全体に対して計算しています(文献によっては廃棄・リサイクルが無視されています)。

太陽熱温水器等(参考)  [Tsutsumi,1992]
バイオマス火力(森林) [Yoshioka,2005](林地残材、3MW、寿命30年、熱効率12%~40%(標準ケースは12%)
波力  [Uchiyama,1995]
海洋温度差  [Uchiyama,1995]
太陽光発電(旧来技術)  [Mizuho,2008][Yamada,2002] (現在既に広く普及している技術)
太陽光発電(最新技術)  [Mizuho,2008][Yamada,2002] (現在普及の初期段階の技術)
風力発電(寿命20年)  [Ebihara,2001][Denchuken,2001] (設計寿命20年。一部電気設備などを含まない)
地熱  [Uchiyama,1995][Denchuken,2001]
水力  [Uchiyama,1995][Denchuken,2001]
原子力発電  [Hondo,2001][Denchuken,2001][Uchiyama,2006][Uchiyama,1995]
化石燃料火力発電  [Uchiyama,1991][Uchiyama,2006][Uchiyama,1995][Denchuken,2001]

太陽光発電のEPR/EPRについては、こちらにより詳しいまとめがあります

[Denchuken,2001] ライフサイクルのCO2排出量を電源別に求める、電中研ニュースNo.338(見直し後のデータ含む)、2000年10月/2001年8月
[Ebihara,2001] 天野耕二、海老原美里、風力発電システムの導入と運用にともなう環境負荷量のライフサイクル評価, 第29回環境システム研究論文発表会, 2001
[Hondo,2001] 本藤祐樹、ライフサイクルCO2排出量による原子力発電技術の評価、電力中央研究所報告書Y01006、2001年8月
[Mizuho,2008] みずほ情報総研、平成19年度中間年報 新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム共通基盤技術研究開発太陽光発電システムのライフサイクル評価に関する調査研究、NEDO報告書No.100012583、2008年
[Tsutsumi,1992] 太陽光・熱ハイブリットシステムのエネルギー分析(堤他,平成4年電気学会全国大会講演論文集,1992年)より新エネルギー・産業技術総合開発機構作成
[Uchiyama,1991] 内山洋司、発電プラントのエネルギー収支分析、電力中央研究所報告書 No. Y90015、1991年3月
[Uchiyama,1992] 内山洋司、山本博巳、発電プラントの温暖化影響分析、電力中央研究所研究報告Y91005
[Uchiyama,1995] 内山洋司、発電システムのライフサイクル分析、電力中央研究所(経済社会研究所)報告書Y94009、平成7年3月
[Uchiyama,2006] 内山洋司、再生可能エネルギー発電技術のライフサイクル評価、電気学会論文誌126(2006)222.
[Yamada,2002] 山田興一、小宮山宏、太陽光発電工学、2002年10月、ISBN4-8222-8148-5
[Yoshioka,2005] 吉岡拓如他, Energy and carbon dioxide (CO2) balance of logging residues as alternative energy resources: system analysis based on the method of a life cycle inventory (LCI) analysis, Journal of Forest Research 10 (2005) 125-134.

EPTの定義は、ライフサイクル中の投入エネルギーを取り戻すまでの期間に極力揃えています。EPT/EPRの定義については、こちらをご参照下さい


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