第1回 量子ビーム計測クラブ研究会 開催報告

 第1回量子ビーム計測クラブ研究会を2018年7月27日(金)に産総研つくばセンターにおいて”材料構造評価のための量子ビーム分析技術”をテーマとして開催いたしました。所内外を含めて総勢46名の方々にご参加いただきました。
 研究会では3名の招待講演者の先生方に学術界・産業界における量子ビーム研究として、実際の材料分析における量子ビームの有用性や応用例を中心とした御講演をいただくとともに、弊所研究員により弊所の量子ビーム施設(陽電子、中性子)を紹介いたしました。筑波大上殿先生には陽電子分光(ドップラー分光法、消滅寿命分光法)の基礎とGaNなどの半導体やCFRPなどの高分子への応用に関するご講演を、東レリサーチセンター吉本先生には陽電子消滅法や吸着エリプソメトリによる水処理分離膜等の複合分析、中性子散乱による水和構造解析などの量子ビームの産業応用に関してご講演を、日産アーク伊藤先生には放射光X線の産業利用、特に回折手法とその解析の重要性、CFRPやFSW(摩擦攪拌接合)した金属部材などの構造材料の分析結果、中性子による高分子薄膜中の水分子の動的構造回析などのご講演をいただきました。いずれも量子ビームを使った分析の産業における有用性の高さを示された興味深い内容でありました。
 また弊所の陽電子分析施設、小型X線非破壊検査装置、ならびにNEDO委託事業にて建設中の中性子分析施設の見学会を行いました。 中性子分析施設の概要はこちらでもご覧いただけます。
 懇親会を含めて、量子ビーム研究と産業応用の現状と問題点、複合量子ビーム分析の有用性、将来構想などに関して活発な議論、意見交換と各参加者間の交流が夜遅くまでなされました。ご参加の皆様にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 本研究会の予稿集(PDF版)が必要な方は事務局(qbeam-club-ml@aist.go.jp @マークは半角にご修正ください)までご連絡ください。クラブ員の方に限らせていただきます。クラブ員でない方はご登録をお願いします(無料)。
 次回の研究会の予定は決まり次第、御案内いたします。内容や開催場所などのご要望がございましたら、上記事務局までご一報ください。

大島クラブ長によるクラブ紹介

滿汐研究員による弊所陽電子施設と応用研究の紹介

筑波大上殿先生による陽電子消滅法の基礎と半導体や高分子等への応用に関するご講演

東レリサーチセンター吉本先生による陽電子消滅法の分離膜等への応用や中性子利用に関するご講演

日産アーク伊藤先生による放射光X線や中性子の産業利用に関するご講演

木野主任研究員による開発中の弊所中性子施設と応用研究の紹介