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速中性子スペクトロメータの開発

産総研の速中性子フルエンス標準では、ペレトロン加速器やコッククロフト加速器からの荷電粒子と原子核反応から発生する中性子を利用している。これらの加速器では、現在パルス化(将来的にはパルス化を行うことを予定)が行われていないので、発生中性子のエネルギー分布はモンテカルロ計算に依存している。発生中性子が実験的に測定できれば標準中性子場の信頼性向上に繋がる。そこで、良いエネルギー分解能を持つ中性子スペクトロメータの開発を行っている。このスペクトロメータは、3つの位置敏感型比例計数管(PSPC)と表面障壁型シリコン半導体検出器(SSD)からなる複合型の検出器となっている。検出器前面にはポリエチレンと鉛からなるコリメータが設置される。PSPCにはメタンガスが充填されており、このメタンガスがラジエータでもあり、中性子-陽子コンバータとなる。コリメータを通って入射した中性子は、1段目のPSPC内でメタンガス中の水素原子と散乱を起こし、反跳陽子が発生する。反跳陽子は、2段目、3段目のPSPCを通過し、SSDに到達する。この検出器の特徴は、反跳陽子のエネルギーがPSPCとSSDで測定でできるのと同時に、飛行位置をPSPCによって導出できることにある。したがって、反跳角が正確にわかり、中性子エネルギーが正確に導出できるという原理である。この検出器については、2004年にプロトタイプが完成し、産総研5.0MeV単色中性子を利用して特性試験を行ったところ、1.7%という大変良いエネルギー分解能を得ることができた。

検出器の写真

今後は、このスペクトロメータを構成している各検出器のノイズレベルを小さくして、計測の安定性を向上させた後、実際に標準システムに組み込むことを考えている。更には、その他中性子測定の様々な応用を考えている。