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中性子標準の遠隔校正技術の開発(e-trace)

産総研では、標準のインターネット等を利用した遠隔校正技術の開発を行っている。これまでに放射能標準、時間・周波数標準、温度標準において遠隔校正が実施・実証されている。中性子標準においても遠隔校正の可能性を探っている。
中性子計測の場合、現場に据付型の検出器や移動が困難な大型の検出器なども多い。さらには、線源校正の場合は、産総研で受け入れられる線源の種類には、施設の許認可の都合上限られる。また、現在の校正では校正依頼者が産総研に来なくてはならなく、コストもかかる。遠隔校正ができれば、校正依頼者の現場で校正を行うことが可能になるので、据付型や大型の検出器の校正が可能になる。さらには、線源の種類(Bq数)など校正の範囲も大きく広げる可能性を持っている。データのやり取りなどインターネットを通じで行うため校正依頼者が産総研まで来なくていいので、コストダウンも可能になる。従って、遠隔校正の実施によって、中性子標準の技術的要素の拡大およびユーザーの方々が標準の供給を受けやすくなる環境ができる。特に、これまで標準と縁の無かった中性子利用の方々やアジアを中心とした外国の研究所への標準供給が可能になる。
単色中性子フルエンス標準の遠隔校正としては、
(1)減速材付3He比例計数管(ボナー球)に、産総研で単色中性子に対する単位フルエンスあたりの感度校正を行う。
(2)ボナー球を仲介検出器として校正依頼者に送付する。
(3)校正依頼者は、検出器を自分たちの照射場にセットし、データ収集装置をインターネットにつなぐ。
(4)産総研からリモートコントロールによって測定を開始する。
(5)リモート操作によってデータを産総研側で収集し、データ処理を行い、結果を導出する。
(6)照射場によって同じエネルギーの中性子でも、スペクトルは同じではないので、スペクトルの違いによる仲介検出器感度への影響を計算で求め、補正を行う。
(7)校正依頼者は、仲介検出器を産総研に送付する。
産総研では、2006年1月に原子力機構との間で14.8MeV速中性子標準の遠隔校正試験を行った。そして、原子力機構のモニター検出器であるロングカウンタに校正定数を与えることに成功した。
遠隔校正試験は、このほか原子力機構JRR3と京大炉ライナックを利用した熱中性子場、東大弥生炉における144keVフィルター中性子を利用した中性子場において実施された。