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【熱伝導率/熱拡散率】
熱伝導率、熱拡散率は、試料を加熱して、その時の温度応答を観測することで測定される。測定方法には、様々な試料の加熱方法、加熱に対する試料の温度応答の検知方法、試料の形状の組合せがある。大きくは、加熱の時間変化の仕方で、定常法と非定常法の2つに分類される。以下に、いくつかを紹介する。
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定常法
定常状態において、*熱伝導方程式(5)は、(∂2T /∂x2)=0となるから、熱流エネルギーは時間および位置に寄らず一定になる。この状態は、*式(1)で表される。従って、熱流エネルギーを電気的な発熱量などとして与え、試料の2点間の温度勾配を測定すれば、*式(1)から熱伝導率を得ることができる。これを定常法と呼ぶ。与える熱流エネルギーが正確に求められる場合は、絶対測定法である。熱流エネルギーを正確に求めることが難しい場合は、同じ熱流エネルギーを与えた時の温度勾配を、熱伝導率が既知の試料と比較して、熱伝導率を求めることもできる。
測定装置の構成としては、ヒーターや細線によるジュール加熱で熱流エネルギーを与え、熱電対などの温度センサで温度勾配を測定するものが多い。
定常法の一種である保護熱板法(Guarded Hot Plate法)は、断熱材の標準的測定法として利用されており、規格も制定されている。
- JIS A 1412-1:1999
熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法 第1部:保護熱板法(GHP法)
Test method for thermal resistance and related properties of thermal insulations -- Part 1: Guarded hot plate apparatus
- ISO 8302:1991
Thermal insulation -- Determination of steady-state thermal resistance and related properties -- Guarded hot plate apparatus
断熱−定常状態熱抵抗及び関連特性の求め方−ガード付きホットプレート装置
(*1.熱伝導率/熱拡散率とは)を参照 |
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【パルス加熱法】(フラッシュ法)
非定常法に分類される。厚さ d の平板試料の片面にパルス的に熱流エネルギーを与えた時の、試料裏面の温度応答から熱拡散率を求める手法である。熱流エネルギーは、加熱される試料表面の全域でエネルギー密度が均一な状態で与えられ、熱流は平板試料の厚さ方向に1次元的に拡散する。したがって、*熱伝導方程式(5)を、初期条件
q (x=0, t) = δ(t=0),
および
[∂T /∂x ] x=0 = 0, [∂T /∂x ] x=d = 0
の境界条件の下で解くと、試料裏面の温度の時間変化は、
T(t) / Tmax = 1 + 2∞n=0 (−1)n exp(−(nπ)2t /τ0)
で与えられる。ここで、Tmaxは温度上昇の最大値である。熱拡散時間τ0は、
τ0 = d2 / α
である。実験からT(t) / Tmax を測定すればτ0が得られ、dは既知であるから、熱拡散率が求められる。通常は、T(t) / Tmax = 1/2 となる点の時間t 1/2(ハーフタイム)を用い、
α = 0.1388 d2 / t 1/2
から熱拡散率を求めることが多い。
パルス的な熱流エネルギーは、フラッシュランプやレーザによる光加熱で行われ、試料裏面の温度応答は熱電対や赤外放射計が用いられる。測定装置の例を図に示す。
(*1.熱伝導率/熱拡散率とは)を参照
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【周期加熱法】
強度を周期的に変調させた熱流エネルギーを与えた時の、加熱領域からある距離だけ離れた位置における温度応答の振幅または位相差から熱拡散率を求める方法である。熱流エネルギーとして、レーザ光やヒーターのジュール熱を周期的に変調して与える。温度応答の検出には、温度センサ(熱電対など)やサーモリフレクタンス法などが利用されている。
熱拡散率αである半無限の試料の表面を周期加熱し、その温度θが周期f、振幅θ0で
θ(t) =θ0 sin (2πt / f )
のように変化する場合、表面からxの位置における温度応答は、
θx(t) =θ0 exp[−x (πt / (αf ))1/2・sin (2πt / (f−x (πt / (αf ))1/2 ))
で表される。位置xにおける位相差をφxとすると、
α = (πx2 ) / [ f (ln(θx /θ0))2 ] = (πx2 ) / ( fφx2 )
となり、振幅θxまたは位相差φxを実験で測定することにより、熱拡散率が得られる。 |
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【パルス通電加熱法】
電気伝導性のある固体試料(円柱状)を直接通電加熱して、熱伝導率、比熱、電気抵抗、ローレンツ数、トムソン係数、ふく射率を同時に測定する方法である。主に、1000Kよりも高温で用いられることが多い。 |
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【ステップ加熱法】
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【細線加熱法】
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