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標準ガスに係る研究開発

調製法研究

質量比混合法用充填ガス質量測定装置

充填ガス質量測定装置の写真

質量比混合法は、高圧ガス容器に充てんした各成分の純ガスの質量と純ガスの純度、モル質量等から混合ガスの濃度を精確に決定する方法です。 高圧ガス容器に充てんしたガスを浮力変動等の影響を出来るだけ抑えながら精密秤量するために、右記写真の装置を自作しました。約10リットルの高圧ガス容器に充てんされた10 mg~1 kgのガスを数mgの不確かさで秤量することが可能であり、世界で初めて論文発表しました。

【主要文献】
1) Metrologia, 41, p.178 (2004), 2) 産総研TODAY 3(3), p.19 (2003)


パーミエーションチューブ法によるホルムアルデヒド標準ガス発生システム

HCHO発生装置図

ホルムアルデヒドのような吸着性の強いガス成分の場合、質量比混合法による標準ガスの調製は困難です。そのような成分の標準ガスを 精確に発生させるためのシステムを開発しました。ポリエチレン製の浸透管にはパラホルムアルデヒドが充てんされており、気化したホルムアルデヒドと流量が既知の窒素が合流することによって安定した精確な濃度の窒素希釈ホルムアルデヒド混合ガスが発生されます。浸透管は磁気浮遊式天秤に吊り下げられており、浸透管の質量変化をモニターすることによってホルムアルデヒドの発生量をモニターしています。

【主要文献】
1) Analyst, 138, p.6930 (2013), 2) Accred. Qual. Assur., 23, p.199 (2018)

分析法研究

ポストカラム反応ガスクロマトグラフシステム

一般的な機器分析では、測定対象物質毎に標準物質を準備して、これを用いて測定対象物質毎に機器を校正する必要があります。しかしながら、これには多くのコストが必要です。ガスクロマトグラフに導入した導入した試料をカラムで分離した後に2つの化学反応を利用して試料をすべてメタンに変換するシステムを開発し、1つの標準物質で多種成分を定量できることを実証しました。この方法は、測定対象物質と同じ標準物質を準備する必要がないため、校正・定量に係るコストをより小さくすることができます。

【主要文献】
1) NMIJ研究トピックス, No.2 (2017), 2) Anal. Sci., 34, p.853 (2018)


有効磁気モーメント法

「一次標準直接法」は、物理量の測定値と物理定数等から試料中の分析対象成分の純度または濃度を直接求める定量分析法です。しかしながら、国際的に認められている一次標準直接法は、重量法、電量分析法、凝固点降下法の3種類のみです。第4の一次標準直接法の実現を目指して、不対電子の磁性を利用した絶対定量分析法「有効磁気モーメント法」の提案・妥当性確認・アプリケーションの開拓を試みています。

【主要文献】
1) ぶんせき, 2016(2), p.63 (2016), 2) Metrologia, 49, p.530 (2012)


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