伊豆大島火山地中温度モニタリング
地温変動の原因その1
風向の影響
三原山山頂部(B火口脇のCh.1~4)の地中温度は20℃から30℃の振幅で頻繁に温度変動しています。このような顕著な温度変動は極めてまれな現象です。 この原因を探るために気象要素との比較を行いました。気象庁の大島アメダス観測点の記録のうち風向、降水量、気圧と並べてみました(図3a)。 ここで、風向は、北から東周りの角度で表現しています。例えば北東の風が45、南の風が180となります。
![SITEMAP](figs/wind2018-1.png)
図3の赤枠の期間を拡大してみました。赤破線で示した期間に着目すると(図3b)、北から東の風が吹き始めてからしばらくして地中温度が上昇していることがわかります。 三原山山頂部(B火口脇)の観測点に対して稜線を挟んで反対側の斜面にあるB火口一帯からは高温の噴気が立ち昇っています。観測点の周辺の堆積物はガサガサのスコリアで構成されており、 空隙を空気などの気体が流動しやすい状態になっています。 B火口の噴気をもたらす高温のガスの一部が地中を上昇する際に、風によって流動方向を変えてより西側に移動した結果、B火口脇の観測点の地中温度が変化したのではないかと考えられます。
![SITEMAP](figs/wind2018-2.png)
以下図4~6に、似たような現象を示す例をいくつか示します。
![SITEMAP](figs/wind2019-1.png)
![SITEMAP](figs/wind2019-2.png)
![SITEMAP](figs/wind2019-3.png)
![SITEMAP](figs/wind2021-1.png)
![SITEMAP](figs/wind2021-2.png)
![SITEMAP](figs/wind2021-3.png)
![SITEMAP](figs/wind2022-1.png)
![SITEMAP](figs/wind2022-2.png)