1.コンソーシアム設立趣旨

日本の製造業は、製品のコモディティ化とそれに伴う低価格化に苦悩しています。一方で、経済、雇用、消費の3側面で「サービス化(Servitization)」は着実に進展しており、製造業においても、高い付加価値と収益性の確保、国際競争力の強化の観点から、製品とサービスを融合させた価値共創ビジネスへの移行が進められつつあります。製品に価値を込めて顧客に届けるという価値提供から、製品を使用する際に顧客とともに価値を生み出す(co-creation)価値共創への変化です。学術的には、“products(製品、複数形)”と “services(組み合わされるサービス群、複数形)”によって構成される“service(全体としてのソリューション、単数形)”が、価値共創の中核になると定義されています。

資源を大量に使って、製品を大量生産し、消費した後、大量に廃棄するといういままでのやり方では、社会の持続可能性を担保しきれません。サービス化には、製品にサービス(レンタル、リース、シェアを含む)を組み合わせることで、持続可能な社会に繋げていくという理念が含まれています。しかし、この理念の通りに製造業のサービス化が進展しているわけではありません。サービス化を指向する企業の活動、プロジェクトは、さまざまな要因で市場化まで辿り着かない、もしくは、市場化したもののビジネス継続できないことが多いようです。このようなサービス化の阻害要因には、製造業に共通する一般的なものが多いと認識しています。

このような産業的・学術的・社会的背景の下、製造業のサービス化阻害要因を一般的に整理し、それらを克服する人材育成に資する「製造業のサービス化カリキュラム」を、企業の方々と連携して提案していこうと、2015年10月に製造業のサービス化コンソーシアムを設立いたしました(会長:産総研・持丸正明、副会長:明治大学・戸谷圭子)。このコンソーシアムは、産業技術総合研究所が事務局を務め、組織が規定するコンソーシアム規約に則って設立、運営するもので、製造業のサービス化の阻害要因を一般化し、サービス化を推進する即戦力人材を育成するためのカリキュラムの提案、及びサービス化を促進する手法・技術に関する意見交換を目的としています。

2.活動内容

製造業のサービス化コンソーシアムでは、以下の活動を行います。
  • 事例研究に基づくサービス化の阻害要因の分析
  • サービス化を推進する人材育成のカリキュラム提案
  • サービス化を促進する手法・技術の意見交換、導入推進
  • 研究者・実務家による講演
  • 活動成果の発信(シンポジウムの開催、企業研修の実施等)
  • その他、本コンソーシアムの目的達成に必要な事業
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