地層処分研究
地層処分の安全性を支える地下水研究
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、放射性物質を地下深部に長期間隔離することで、人間生活圏への影響を防ぐことが求められます。その安全性を評価する上で重要な要素の一つが地下水です。地下水は地下深部をゆっくりと流動しており、処分施設周辺の化学環境や物質移行に大きな影響を与えるため、地下水の流れや水質、地質構造との関係を正確に理解することが不可欠です。
当研究グループでは、国の地層処分研究開発事業の一環として、特に沿岸域を対象とした地下水研究を進めています。沿岸域は陸域の淡水と海域の海水が接する遷移帯であり、地下では淡水と塩水が複雑に分布しています。また、地下水利用や都市活動など人間活動の影響も受けやすく、内陸部とは異なる特徴を持つ地質環境です。こうした沿岸域の地下水特性を理解することは、地層処分の候補地域を評価する上で重要な課題となっています。
これまで北海道幌延地域や静岡県駿河湾沿岸域を主な研究フィールドとして、深層ボーリング調査、地下水・間隙水分析、地球物理探査、海底湧出地下水調査などを実施してきました。その結果、海底下に氷期起源の淡水性地下水が広範囲に保存されていることや、数万年以上前の海水が地下深部に化石海水として残存していることを明らかにしました。また、地下水年代や地質データを活用することで、地質環境の違いが地下水の長期的な貯留特性に大きく影響することも明らかとなってきました。
近年は、海陸を統合した三次元地質環境モデルの構築や地下水流動シミュレーションを進めるとともに、ボーリング調査や海底湧出地下水調査によるモデル検証技術の高度化に取り組んでいます。これらの研究は、地層処分の安全性評価に必要な科学的基盤を提供するとともに、沿岸域における地下水資源管理や環境保全にも貢献しています。

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