研究の概要
本研究では県外最終処分・周辺地域の復興に向けた持続可能な環境修復の合意形成に向けた社会受容性の評価およびフレームワーク構築に関して、以下の研究を実施します。
1.県外最終処分等シナリオの社会受容性評価および重要指標抽出
市民・自治体等のステークホルダー(以下、SH)に対する半構造化面接、郵送法・国際オンラインアンケート調査、ワークショップ(以下、WS)等で得られたデータに対して共分散構造解析等を実施し、県外最終処分に関する社会受容性および合意形成プロセスでの重要指標をSH毎に評価します。また、中間貯蔵施設周辺復興地域のこれまでの地域ストック(歴史や記憶)に対して、インタビュー、資料調査、現地踏査に基づき地域に関する文化的・景観的価値を整理し、記憶地図としてデジタルコンテンツ化を行います。
2.県外最終処分および中間貯蔵施設周辺復興地域に対する多面的評価法によるシナリオ分析
仮想的なSHを招聘したWS等を実施し、県外最終処分の各種シナリオに対する多面的指標に基づく詳細分析、望ましいシナリオを整理します。SHの受容性メカニズムに関する静的・動的モデルを構築し、メカニズム評価を実施します。また、中間貯蔵施設周辺復興地域を対象として、SHとのWSを実施し、多面的評価に基づくシナリオ分析により、地域として残されるべき社会景観の整理および方法論構築を行います。
3.県外最終処分等に関わる多元的公正の整理および実験的評価
本課題の合意形成プロセスで重要となる多元的公正を、実験社会科学的手法により評価する研究を進めます。集団討議実験により、賛成-反対の二分法ではなく、論点軸が1つではなく複数あり、その組み合わせによる議論を求めるという議論の枠組みの意義を示します。次に、“よい議論”とは何かを定義し、“よい議論”がなされる/なされない条件を明らかにします。さらに、異なる価値を主張し合うゲーミングから、プレーヤー間の相互作用過程で合意の成否の分岐要件を示します。最後に、実験室で得られた知見の適用範囲や課題を確認するため模擬市民参加型社会実験を行います。
4.多元的公正および環境,社会,経済面を考慮した合意形成フレームワーク素案立案
以上の成果をまとめ、国内外の外部有識者等と連携して県外最終処分等の合意形成フレームワーク素案を立案します。