大規模量子コンピューターシステムに向けたサプライチェーンに関するロードマップを公開
発表・掲載日:2026年9月3日―(第二報)光方式のサプライチェーン ―
ポイント
- 量子コンピューターの大規模化に必要な要素技術の現状と課題を俯瞰
- ロードマップの活用により国内企業の量子コンピューター産業への新規参入を後押し
- 量子コンピューター産業の安定的かつ強靭なサプライチェーンの実現に貢献
概要
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、国立研究開発法人理化学研究所、富士通株式会社と共同で大規模量子コンピューターシステムに向けた俯瞰図・ロードマップの策定を進めています。このたび、超伝導方式を扱った第一報に続く第二報として、光方式のサプライチェーンに関するロードマップを公開しました。
産総研 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(以下「G-QuAT」という)は、内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第3期課題「先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進(プログラムディレクター:寒川哲臣(NTT株式会社))」のうち、
サブ課題「量子コンピューティング(サブプログラムディレクター:G-QuAT 堀部 雅弘)」において、「現実の社会・産業課題の具体的な解決事例(ユースケース)」開発に向けた研究開発に取り組んでいます。
今回、研究開発テーマA-4「大規模量子コンピューターシステムに向けたロードマップ等作成(研究開発責任者:産総研 昆 盛太郎)」において、複数ある量子コンピューターの技術方式のうち、超伝導方式および光方式による大規模量子コンピューターシステムに向けたロードマップを作成しました。
本ロードマップでは、超伝導方式および光方式のシステム全体の要素技術、大規模化に向けた開発要素を提示しています。本ロードマップを公開することにより、日本が強みを有する素材・部品・製造分野の企業による量子産業界への積極的な参入を促し、安定的かつ強靭なサプライチェーンの構築に貢献することを目指しています。
社会的背景
量子コンピューターの実用化および大規模化のためには、周辺デバイス・部品・材料などの高度化とともに、これらのサプライチェーンの構築が不可欠です。 国内産業は、エレクトロニクスを含むデバイス・部品・材料などに関して強みを有しています。しかしながら、現時点では量子コンピューターシステムの技術仕様が明確ではなく、 多くの企業、特に中小企業にとっては参入のハードルが高い状況です。こうした課題を踏まえ、量子コンピューターシステムの技術仕様を明確化し、システム全体や必要なデバイス・部品・材料などに関するロードマップを作成しました。 これにより、中小企業を含む裾野の広い産業界の積極的な参入を促進し、安定的かつ強靭なサプライチェーンの構築を目指します。サプライチェーンに関するロードマップのポイント
- 超伝導方式および光方式の量子コンピューターシステム全体における要素技術と必要スペック
- 大規模化に向けた開発要素
- 世界の主要機関における量子コンピューターの研究開発動向
超伝導方式の量子コンピューターを構成する重要な要素技術として、信号増幅器、ケーブル、コネクター、高周波コンポーネント、希釈冷凍機、制御システムなどがあります。
また、光方式の量子コンピューターを構成する重要な要素技術として、光源、光学部品、光検出器、オプトメカニクス、光変調器、制御装置などがあります。 これらの要素技術部品について、大規模集積化に向けた課題を抽出しました。さらに、課題解決の方向性を検討するため、関連部品の製造・開発を担いうる国内外の企業、量子コンピューターを研究する研究機関、各種学会が主催する国内外の会議などを対象に、技術動向やサプライチェーンに関する情報を収集しました。 これらの調査を踏まえ、超伝導方式および光方式の量子コンピューターの大規模化に必要な研究開発要素と、研究を遂行するために必要な環境を整理し、大規模化に向けたロードマップを取りまとめました。 なお、ロードマップについてはこちら[PDF:3.0MB]をご覧ください。
今後の予定
量子コンピューターのうち、超伝導方式および光方式以外の方式(例:中性原子方式、イオントラップ方式など)についても、サプライチェーンに関するロードマップを作成していきます。各方式に共通するデバイス・部品・材料や、非量子産業製品の活用の可能性についても検討します。 これらの検討結果をロードマップに反映するとともに、市場性・経済性の見通しを整理し、より多くの企業の参入を促進する取り組みを進める予定です。研究開発体制
研究テーマ:大規模量子コンピューターシステムに向けた俯瞰図・ロードマップとサプライチェーン強靭化研究開発責任者:昆 盛太郎(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
共同研究機関:国立研究開発法人理化学研究所、富士通株式会社
関連記事
産総研:大規模量子コンピューターシステムに向けたサプライチェーンに関する技術報告書を公開本件問い合わせ先
国立研究開発法人 産業技術総合研究所量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター 企画室
E-mail:M-G-QuAT-plan-ml *aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)