Theme個別研究課題

難接着性樹脂の表面改質技術開発

  • フッ素樹脂の接合試験のようすフッ素樹脂の接合試験のようす
研究のキーワード

難接着樹脂、接着・接合、フッ素樹脂、リマン、資源循環

研究の目的

光照射を活用したセラミックスコーティング技術は、比較的耐熱性が低い樹脂材料などの表面にも様々な機能を付与できることが期待されます。中でも私たちは、光照射がコーティング膜を結晶化(セラミックス化)させるだけでなく、照射光の一部が樹脂基板にまで到達し膜中の成分との光化学反応を誘起することによって、製膜と樹脂表面改質が単一プロセスで可能となることに着目し、フッ素樹脂のような難接着性樹脂に表面接着性を付与するコーティング技術の開発に取り組んでいます。

研究の成果

フッ素樹脂は熱的・化学的にとても安定で、様々な産業用途に広く使用されている一方、水や油・接着剤などをはじく性質が非常に強く、異種材料との接合が極めて困難な材料です。対策として金属ナトリウム分散試薬による表面化学処理が広く採用されていますが、試薬の反応性が高く作業時の安全性や環境負荷が課題となっており、また樹脂の変色や表面変質を伴う問題がありました。私たちはこのような難接着性フッ素樹脂であるPFAに、光照射を用いて酸化物セラミックスを薄膜コーティングすることによって、市販の接着剤で異種材料と強固に接合することに成功しました。光照射で改質反応を制御しているため樹脂の変色や表面平滑性の劣化も大きく抑制され、基材樹脂へ極めて低ダメージでの表面接着性の付与を達成しており、フッ素樹脂の変色や界面凹凸が課題となる用途への展開や、環境負荷の低減、接合部材からのフッ素樹脂の回収再利用などに貢献できることが期待されます。